※画像はイメージです/PIXTA

一般的には「日当たりの良好な南向き」が良いといわれるマンション。しかし、タワーマンションに限っては、このセオリーが当てはまるとは限りません。失敗しないタワーマンションの部屋選びのポイントを、住み心地と資産価値という観点から解説します。

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    眺望が悪くなれば、資産価値は激減する

    タワーマンションの部屋選びの注意点としては、その眺望が将来に渡って保証されるかどうかという点です。繰り返しになりますが、タワーマンションの最大の価値はその眺望です。そのため、その眺望が悪くなると一気に人気がなくなり、不動産としての価値は激減します。

     

    Aさんは、家を探す際に日当たりのよさを最重視して、東京の湾岸エリアのタワーマンションの「高層階南向き」の部屋を購入しました。しかし、購入してから10年後、向かいに同規模のタワーマンションが建設されてしまい、お昼の時間帯に部屋に日光が入らなくなってしまいました。

     

    住み替えを検討しましたが、日当たりと眺望の悪化が原因で人気が激減し、想定していたよりも大幅に低い金額でしか売れなくなってしまいました。まだ多額のローンも残っていたことから、Aさんは売却を諦め、やむを得ずそのまま住み続けることを選択しました。

     

    そのようなことにならないために、タワーマンションを選ぶ際は、資産価値という点でも、住み心地という観点でも、正面に今後大きな建物が建つ可能性がないかどうかは重要なチェックポイントになります。

     

    向かいに古いビルや空き地がある場合などは注意が必要です。とくに、敷地面積が大きい割に階数が低くて古い建物が建っている場合、その土地の容積率を余らせていることが多いため、将来的に今よりも大きなタワーマンションやビルに建て替えられる危険性があります。

    「タワーマンションの低層階」という選択肢

    次に、部屋の向きから話を変えて、タワーマンション階層に注目して考えてみます。タワーマンションの最大の価値は眺望ですが、そのメリットが望めないタワーマンションの低層階という選択はどうなのでしょうか。

     

    一般的には眺望も良くなく、資産価値も低いと言われるタワーマンションの低層階ですが、居住するうえで何を重視するかによっては賢い選択になるケースもあります。そのポイントは価格、立地、設備です。

     

    タワーマンションは、駅近や駅直結などアクセスの良いものが多く、またジムやスパなど共用施設も充実しているものが増えてきています。また、低層階は高層階と比べて価格が格段に低く抑えられています。

     

    そのため、タワーマンションの低層階は、高層階と同じ立地や設備が、高層階と比べて低い価格で手に入るというメリットがあります。そのため、眺望はそこまで重視しないが立地や設備にはこだわりたいという人にとっては賢い選択肢となり得るのです。

     

    低層階は価値が低く資産としての魅力がないと言われることもありますが、その分購入時の値段が十分に安いのであれば、将来売るときの価格の減少率も低く抑えられます。そのため、タワーマンションの低層階を検討する場合は、その立地の人気度、共用設備のグレード、そして値段の割安度を総合的に判断することが重要となります。

     

    ただし、立地や設備などのメリットは、眺望と違って他の低層マンションでも代替が効くことを忘れてはなりません。そのため、価格も含めて同エリアの低層マンションとも比較してそのタワーマンションを選択する妥当性があるかを冷静に見極める必要があります。

    タワーマンションの資産性も、結局は立地が左右する

    最後に、タワーマンションの資産性についてです。

     

    タワーマンションに限らず、不動産の価格は他の消費財と同様に需要と供給のバランスで決まります。したがって、需要が多く供は少ない不動産の資産性は維持されやすくなります。

     

    ひと昔前まではタワーマンション自体が珍しかったため、希少性が高く(供給が少なく)、資産としての価値がありました。しかし、最近では都市部でタワーマンションが乱立しているため、希少性という点では決して珍しいものではなくなってしまっています。

     

    その結果、今後も資産価値を維持するであろうタワーマンションと、近い将来に相場が大きく崩れる恐れのあるタワーマンションで勝ち負けがはっきりしてくると思われます。

     

    具体的には、同エリアで同時期に大量にタワーマンションが建設されたエリアや、これからまだ乱立が予定されているエリアでは、将来市場に中古として出回る供給量が増える見込みであることから、資産価値が下がっていくことが予想されます。

     

    また、タワーマンション自体の希少性が下がった近年において、タワーマンションの中でも駅から遠いものや通勤アクセスの悪いもの、買い物や教育施設など日常の生活インフラが追いついていないエリアは敬遠される傾向が強まります。

     

    逆に、好立地で同地区にタワーマンションが少ないエリアや、行政の都市計画において今後タワーマンションが増える見込みのないエリアは、需要も希少性も下がらないことから資産価値をある程度維持し続ける可能性が高いと言えます。

     

    タワーマンションに限らず、これらのことを総合的に考慮しながら、ご自身の生活において重視するポイントと併せて理想の住まい探しをしていただければと思います。

     

     

    加藤 康介
    ライフソレイユ株式会社 取締役

     

     

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