本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が6月21日に配信したレポートを転載したものです。

ただし、足元の米国株上昇には不安定感が残る

もっとも、上昇基調が続く米国株式市場にも、大手ハイテク株に偏重した株高やバリュエーションの割高感などの面で不安定さが残されています。

 

S&P500指数のパフォーマンスを要因分解してみると、年初来での堅調な株価上昇はハイテク大手7社によって概ね主導されており、その他銘柄の株価の回復は限定的に留まっています(図7)。

 

また、足元の株価上昇によって、ナスダック総合指数の12ヵ月先予想PERは30倍超へ上昇するなど、ハイテク株中心にバリュエーションの割高感が高まる兆しもみられます(図8)。

 
 

今後の米国株は強気相場の持続性が焦点に

今後の米国株の焦点は強気相場の持続性に集まりそうです。特に米国株が2023年後半も安定傾向を維持できるかは、次に挙げる3つの点がカギを握ると考えられます。

 

注目①:米国のインフレ見通しと利上げの行方

第一に、2023年後半には改めて米国のインフレと金融政策の行方に市場の注目が集まると考えられます。

 

前述の通り、6月のFOMCを受けて、今後の利上げ見通しを巡ってFOMC参加者と市場の間で見方の乖離が生まれています。足元の米国のインフレ率は、消費者物価指数(CPI)やコアCPIの伸び率の鈍化傾向が顕著となっています(図4)。

 

ただし、米国の雇用環境の底堅さから賃金上昇率が高止まりし、今後のインフレ率が想定ほど低下しない場合には、FOMC参加者が想定する年後半の追加利上げの現実性が高まると考えられます(図5)。

 

一段の利上げ懸念の再燃は、割高感が高まりつつあるハイテク株を中心に米国株の調整圧力となる可能性があります。

 
 

注目②:米国企業の収益見通し

第二に、米国企業の収益見通しの行方が注目されます。

 

これまで米国株の2023年の利益予想(市場コンセンサス)は、景気後退リスクを織り込む形で下方修正が進んできました。しかし、足元では利益予想の下方修正が一巡する兆しが見え、米国企業の収益環境が徐々に最悪期を脱し始めた可能性があります(図6)。

 

また、米国株の2024年の利益は引き続き前年比で二桁台の成長が見込まれています。今後、市場の注目が2024年の利益見通しにシフトするに連れて、収益回復の面から米国株が下支えされることが期待されます。

 

 

注目③:米国企業の株主還元への再評価

最後に、米国企業の株主還元への再評価が広がるかも年後半の米国株式市場の注目材料と言えます。

 

2023年の米国株式市場では、不透明な市場環境の中、現金保有比率の高い銘柄ほどパフォーマンスが改善する傾向がみられます(図9)。米国企業は依然として多額の手元資金を抱えており、配当や自社株買いなど株主還元への有効活用の余地が残されていそうです(図10)。

 

 
 

和泉 祐一

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

シニア リサーチアナリスト

 

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