クレーム対応は、ビジネスを行ううえで避けては通れない業務です。いやな業務ではありますが、調査によると、クレームへの迅速で適切な対応に満足した顧客の8割以上がリピーターになるという結果も出ています。そのようななか、経営者は、すべての社員がクレームに適切に対応できるようにするために、マニュアル作りをする必要があります。では、クレームをビジネスにとってプラスに変えるマニュアルは、どのように作ればよいのでしょうか? みていきます。

クレームマニュアルの作り方

クレーム対応マニュアルを作成する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

 

1.平易な言葉を使う

クレーム対応マニュアルは、すべての従業員が内容を理解し、実践ができてこそ効果を発揮します。ですから、ベテラン社員だけではなく、新入社員や派遣社員なども容易に理解できる言葉を使います。

 

2.詳細に記載しすぎない

クレーム対応にはスピードが求められます。また、顧客に直接対応している現場では、細かな文章を読み込んでいる余裕がない可能性もあります。クレーム対応の最中でも「自分はなにをすべきか?」を把握できるよう、簡潔に見やすく記載することが大切です。

 

3.全社員に周知し浸透させる

マニュアルは作って終わりではなく。その存在や内容を全社員に周知・浸透させ、クレーム発生時に使いこなしてもらうことで、初めて意味があるものになります。組織としての心構えや価値観を研修時に解説したり、ロープレ研修を実施することも検討します。

 

4.クレーム対応時に見ながら対応できるようにする

実際のクレーム対応の現場で使いやすいマニュアルにするためには、すべてを文章で解説するのではなく、フローチャートやチェックリスト、FAQを活用します。

クレームマニュアルの例

クレームマニュアルの例として、4つのケースをご紹介します。もちろんこれら以外にも、ご自身の会社に寄せられるクレームのパターンがあれば、これも含めてマニュアル化できるように用意しておきましょう。

 

1.商品発送や到着の遅延

最も多いケースですが、原因が明確で対処しやすいクレームでもあります。

 

<事前準備>
・遅延が起こりやすい商品や発送方法を把握する。
・遅延が起こる原因と、それぞれのケースに応じた対応策を調査する。
・顧客が納得できる説明シナリオを準備する。


<クレーム対応>
・遅延をお詫びして到着予定時期を伝える。
・事故や災害による遅延で到着予定が不明の場合は分かり次第連絡し、あらためてお詫びをする。

 

2.商品の欠陥や故障

こちらも多いクレームです。不具合の状態を正確に把握することが重要になります。

 

<事前準備>
・商品の欠陥や故障原因の特定方法をマニュアル化する。
・問題点を特定するためのシナリオを作成する。
・修理や返品受付、費用や送料のマニュアルを作成する。
・補償範囲を決定しておく。


<クレーム対応>
・欠陥や故障のお詫びとともに、相手の被害に共感する姿勢を示す。
・事前に準備したシナリオに沿って対応策を提案する。

 

3.顧客対応が低品質

「自分が顧客として尊重されない」と感じて生まれるクレームです。

 

初期対応を間違えると長期化し、問題が大きくなる可能性があります。問題の根幹にある顧客の不安や不満を取り除くことが重要になります。

 

<事前準備>
・受付窓口の混雑時間など、顧客対応で問題になりやすいポイントを抽出する。
・顧客を「〇〇様」と呼ぶことを徹底する。
・事実関係を把握するためのシナリオを作成する。
・顧客を個人として尊重している言葉を織り込む。
・金品補償を求められた場合のために、補償範囲を決定する。
・クレームの長期化/悪質化の判断基準を設け、基準を超えた場合の対応策を決める。


<クレーム対応>
・お詫びして、事実関係を把握したうえで、従業員教育を徹底することを約束する。
・補償を求められた場合は、事前に決められた範囲で対応する。個人の判断では対応しない。

 

4.商品の機能や利用方法を顧客が誤解

顧客側の誤解が原因のクレームです。顧客は自分の課題を解決してもらいたいのであり、正しい説明を求めてはいません。誤解を解くよりも課題の解決策を探ります。

 

<事前準備>
・説明不足や情報不足、取扱説明書でわかりにくい部分を抽出する。
・「知識不足の顧客」役と「カスタマーサポート担当者」役でロールプレイングを行い、顧客目線に立ったシナリオを作成する。


<クレーム対応>
・知識を提供するのではなく、課題の解決方法を重要視して対応する。
・誤った認識をもとにした主張を繰り返す顧客に対しては、一旦相手の話を受け入れてから、問題が起こった原因を説明して対応策を伝える。

クレームをプラスに変えるために

今日、顧客からのクレームは社会問題化し「カスタマーハラスメント」という言葉が生まれるほどになっています。ただし、クレームは商品やサービス改善のきっかけにもなります。適切なクレーム対応の仕組みづくりを行えば、顧客の不満を取り除き、問題を未然に解決することもできます。さらに企業の対応が顧客の感動を生み出せば、その顧客を企業のファンにすることもできるわけです。

 

<参考>

※ トランスコスモスAI研究所の調査

 

 

清水 直樹

仕組み経営株式会社

代表取締役

 

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