「クレーム対応」と密接にかかわる「2つの法則」
クレーム対応の目的と、それに密接に関連する2つの法則についてご紹介します。
①顧客の課題を解決する
クレーム対応において絶対に忘れてはいけないことが、「顧客は課題があって商品やサービスを購入したのに、課題を解決できていない」ということです。顧客の課題を聞き取って、問題解決の手助けをすることが、クレーム対応の第1の目的となります。
【グッドマンの法則】
これは、マーケティング調査・コンサルティング会社TRAP社の創業者であり、経営コンサルタントでもあるジョン・グッドマン氏が、顧客の苦情対応に関する調査を実施した結果、企業の苦情対応がいかに顧客満足度や購買につながるかについて提唱したものです。
この法則によると「不満を感じて店にクレームを入れたが、店側の対応に満足した人」のリピート率は「クレームを出さずに立ち去った人(サイレントクレーマー)」のリピート率よりも圧倒的に高くなっています。
この傾向は高額商品において顕著になり、不満に対してクレームを出さなかった人のリピート率が9%だったのに対し、迅速な対応に満足した顧客のリピート率は何と85%にも達しています。
迅速で顧客を満足させるクレーム対応が、優良な顧客を維持することにつながるというわけです。
②商品・サービスに対するフィードバックをもらう
先ほども述べたように、クレームが出るのは「顧客の期待が満たされなかったから」です。
つまり企業は、クレームが問題やサービスの本質に関わるものかどうかを見極める必要があるわけです。そのため、クレーム対応を通じて問題の箇所を特定し、改善できるスタッフにつなげる仕組みづくりが重要になります。
自社で開発した製品やサービスを提供するビジネスであれば、こうしたフィードバックは顧客に満足してもらえる製品を開発するための命綱とも言えます。特に製品開発のスピードが重要なスタートアップ企業では、顧客からのクレームは、バージョンアップやバグフィックスを行ううえでの大きな指針になります。
【ハインリッヒの法則】
これは、事故を未然に防ぐことが必須と考えられる医療現場や建築現場で重視される法則で、「1件の重大事故の背景には軽微な事故が29件、些細なトラブルや不具合が300件起こっている」という法則です。
このハインリッヒの法則をクレーム対応に当てはめると、クレームは「些細なトラブルや不具合」に該当します。クレームの段階で問題を突き止めて改善に結び付けることで、問題化していない軽微な不具合の改善も実現できます。クレームに適切に対応することで、重大事故につながるリスクを未然に解消できるのです。クレームから問題点を分析し、各部署で共有するための仕組みづくりが求められます。
※ H. W. ハインリッヒ、D. ピーターセン、N. ルース(著)井上威恭(監修)、(財)総合安全工学研究所(訳) 『ハインリッヒ産業災害防止論 海文堂出版(株) 1987年(昭和62年)9月 2版 ISBN 430358052X p59-60』
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