クレーム対応は、ビジネスを行ううえで避けては通れない業務です。いやな業務ではありますが、調査によると、クレームへの迅速で適切な対応に満足した顧客の8割以上がリピーターになるという結果も出ています。そのようななか、経営者は、すべての社員がクレームに適切に対応できるようにするために、マニュアル作りをする必要があります。では、クレームをビジネスにとってプラスに変えるマニュアルは、どのように作ればよいのでしょうか? みていきます。

クレーム対応マニュアルの項目

クレーム対応マニュアルは、企業におけるクレーム対応の標準化や迅速な処理を実現するために非常に重要なものです。クレーム対応マニュアルには、以下の項目を盛り込むのが一般的です。

 

1.クレームの定義

クレーム対応マニュアルの冒頭で、自社におけるクレームの定義を明文化します。クレームへの適切な対応や記録に残すことの必要性など、その目的を記載することが大切になります。

 

2.クレーム対応に関する組織のスタンス・価値観

クレームに対する感じ方の違いは、社員個々の個性や価値観から生じます。

 

しかし、クレーム対応をする際に基準となる組織のスタンスや価値観が不明確なままでは、対応のスタンスにばらつきが生まれ、それが二次クレームを引き起こす可能性があります。

 

ですから、クレーム対応の標準化をするためには、マニュアル内で組織のスタンスや心構えを定めることが大切となります。マニュアルに自社のスタンスを言語化して記載することで、対応が自社の価値観が合っているかどうかの振り返りやブラッシュアップも可能になります。

 

3.クレーム受付・処理の体制

店頭、メール、コールセンターなどのチャネルを網羅する形で、クレーム受付・処理の体制を明記します。クレームの多い業種などでは、クレーム受付担当者やクレーム解決責任者を任命することも検討します。

 

4.クレーム対応の手順・フロー

クレーム対応の手順書には、いつ、誰に、どのような手順で報告や対応をしていくかを記載します。

 

具体的には①事実の確認②情報共有・全社的な対応③再発防止に向けた取り組みという3ステップがベースになります。

 

5.クレーム処理報告書の作成方法・提出先

クレーム処理報告書の作成方法やポイントを、わかりやすく記載します。提出先や不明点がある際の相談先、提出期限も記載します。また、クレーム対応マニュアルの作成を考えるうえで参考になるのが、日本工業規格(JIS)が2000年2月にまとめた「苦情対応マネジメントシステムの指針」です。この指針は、クレーム処理の体制や基準などを考える際にも非常に役立つので、ぜひ参考にしてみてください。

 

※ JIS Q10002:2015 (ISO 10002:2014)苦情対応マネジメントシステムの指針

 

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