画像:PIXTA

大企業出身者らがSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)関連の企業を設立する事例が相次いでいる。…なぜなのか。本記事は、SDGsを実践する企業を支援するWebサービス「coki」から一部転載してお届けする。

高性能保冷剤でフードロスやワクチンロスを軽減

輸送中も一定の温度を保ち、製品の鮮度を保つように設計されたアイスバッテリー
輸送中も一定の温度を保ち、製品の鮮度を保つように設計されたアイスバッテリー


社会問題解決に挑む企業は他にもある。高性能保冷剤「アイスバッテリー」を手掛けるアイ・ティ・イー(東京・千代田)だ。

 

同社は独自開発した保冷剤を活用してコールドチェーン(低温輸送)関連サービスを提供している。代表のパンカジ・ガルグ氏はインド出身で、1988年に株式会社神戸製鋼所にエンジニアとして来日。米インテルを経て2007年に同社を起業した。グローバル企業でのキャリアを捨て、なぜ異国の日本で起業したのか。

 

ガルグ氏には幼い時に姉を亡くし、母親が悲しむ姿を間近で見た経験がある。インドではこうした悲劇は珍しいことではなく、今も食料やワクチンが手に入らず命を失う子どもが大勢いる。幼いガルグ氏は「いつかお母さんのように悲しむ人を無くしたい、子供達を感染症などの病気から救おう」と決意したという。

 

世界自然保護基金(WWF)によると、現在、世界では年間約25億トンもの食品が廃棄されており、これは全世界で生産される食品の約40%に当たる。先進国では過剰生産によって、新興国では作物を保管しておく設備や低温物流のインフラが不十分であることが原因で、フードロスが発生している。

 

医療分野でも大きなロスが発生している。医薬品を届けるためには適切な温度管理が求められるが、インドやアフリカ等の新興国では、温度管理の不備により、ワクチンがなかなか行き渡らない。このため、およそ2000万人の乳児が予防接種を受けられず、年間150万人の子供が命を落としていると言われる。

 

食品や医療ワクチンのロスを防ぐコールドチェーン、世界規模でニーズが増えている技術である。同社は従来の電気代を50〜70%削減することを目指した技術の市場導入にも力を入れており、日本だけでなく、米国など海外でも事業拡大する計画だ。

 

 

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中村優子

元UHB北海道文化放送アナウンサー、作家のエージェント、インタビュアー、スタートアップ広報。作家・林真理子さんのYouTubrチャンネル「マリコ書房」、および著者インタビューサイト「本TUBE」を運営。インタビュー動画の企画から出演、編集まで一人でこなす。年100本以上の動画制作に関わる。

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