事業再構築補助金とは
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス禍の悪影響を受けている中小企業・中堅企業が、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等に挑戦することを支援する目的で設けられた補助金です。
2023年6月9日(金)から「第10回公募」が開始されています。これまではコロナ禍の影響で「売上高の減少」があったことが要求されましたが、今回は、必ずしも要求されておらず、新たな「枠」も設けられたことにより、門戸が広くなったといえます。
事業再構築補助金の「8つの枠」
事業再構築補助金の「第10回公募」の公募要領によれば、今回は以下の8つの「枠」があります。うち4つの枠は今回新設されたものです。
【事業再構築補助金(第10回公募)の枠】
1. 成長枠(※新設)
2. グリーン成長枠
3. 卒業促進枠
4. 大規模賃金引上枠
5. 産業構造転換枠(※新設)
6. サプライチェーン強靭化枠(※新設)
7. 最低賃金枠
8. 物価高騰対策・回復再生応援枠(※新設)
対象となる企業(中小企業、中堅企業)の条件
事業再構築補助金の対象は「中小企業」と「中堅企業」です。それぞれ要件が定められています。
◆中小企業
中小企業の要件は、中小企業基本法で業種ごとに以下の通り定められています。
【製造業その他】
・資本金・出資金の総額が3億円以下の会社 または
・常時使用する従業員の数が300人以下の会社・個人
【卸売業】
・資本金・出資金の総額が1億円以下の会社 または
・常時使用する従業員の数が100人以下の会社・個人
【小売業】
・資本金・出資金の総額が5千万円以下の会社 または
・常時使用する従業員の数が50人以下の会社・個人
【サービス業】
・資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社 または
・常時使用する従業員の数が100人以下の会社・個人
◆中堅企業
中小企業に該当しない企業でも、以下の要件をみたす場合は、「中堅企業」として、事業再構築補助金の対象となります。
【中堅企業の要件】
・資本金額・出資総額が10億円未満 または
・常時使用する従業員の数が2,000人未満(資本金額・出資総額が定められていない場合)
「8つの枠」に共通の補助対象要件
事業再構築補助金には、すべての「枠」に共通して、以下の「補助対象要件」が求められています。なお、従来は、原則として「売上高の減少」の要件が求められていましたが、それが必ずしも求められなくなり、より多くの中小企業等に門戸が開かれることになりました。
【共通の補助対象要件】
1. 事業再構築計画の策定と取り組み(事業再構築要件・認定支援機関要件)
2. 事業計画における付加価値額目標の設定(付加価値額要件)
また、これらに加え、別途、枠ごとの要件が設けられています。それぞれの枠の項目で紹介します。
◆共通の補助対象要件1|事業再構築計画の策定と取り組み(事業再構築要件・認定支援機関要件)
事業計画を策定し、取り組むことが必要です。
すなわち、まず、経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けなければなりません。
補助金額3,000万円超の場合は、金融機関による確認も必要です(金融機関と経営革新等支援機関が同一の場合は、当該金融機関の確認のみでよいことになっています)。
◆共通の補助対象要件2|事業計画における付加価値額目標の設定(付加価値額要件)
補助事業の終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上増加、または従業員1人あたり付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上増加させる計画を立てる必要があります。
ここまではすべての枠に共通する事項についてお伝えしてきました。以下、8つの枠について個別に概要を解説します。