※画像はイメージです/PIXTA

出版社のM&Aは、事業承継を目的に行うケースはもちろん、業界での生き残り戦略としても有効です。積極的にM&Aに取り組むことで得られるメリットや、広がる可能性を見ていきましょう。買い手の目的や、実際に行われた出版社のM&A事例も紹介します。

5.早期に事業承継に取り組むメリット

 

事業承継は、タイミングを逃すとうまくいかない可能性があります。そのため実施を検討しているなら、できるだけ早い時期に取り組むのがよいでしょう。

 

5-1.倒産、廃業を回避できる

 

出版不況により、出版社の倒産が増えています。倒産すると、それまでに培ってきた事業は全てなくなってしまいます。書籍が出るのを待っている顧客を、がっかりさせてしまう結果にもつながるでしょう。

 

また倒産の影響が取引先にも及び、迷惑をかけるかもしれません。場合によっては連鎖倒産も起こり得ます。

 

事業承継に向けて早めに準備していれば、倒産や廃業を回避できるでしょう。顧客や取引先へも迷惑をかけずに済むはずです

 

また早めに準備しておけば、業界動向や自社の業績が好調なタイミングで、スムーズに事業承継できるでしょう。

 

参考:事業承継に必要な準備や引き継ぎ内容は?親族内承継、M&Aの違い

 

5-2.新たな形で事業を成長させられる

 

シナジー効果を生かすと、事業承継により新たな形態で事業を成長させられるかもしれません。書籍全体の売上は落ちていますが、情報収集の方法としてビジネス書や実用書が求められるシーンもいまだにあります。

 

そこで有効なのが、自社の事業と組み合わせることで、相乗効果を得られる企業への事業承継です。例えば書籍の販売や電子書籍の配信ができるプラットフォームを持つ企業に承継すれば、自社のコンテンツをより多くの人へ届けられるかもしれません。

 

参考:3-2.シナジー効果が得られる

 

6.M&Aで広がる可能性

 

出版社を買収したいと考えているのは、出版業界の企業だけではありません。自社のブランディングを考える企業や、海外にコンテンツを輸出する企業にとっても、出版社は魅力的な買収対象です。

 

6-1.企業のブランディングへの活用

 

ブランディングを目的として、書籍を出版したいと考えている企業は数多くあります。自費出版であれば簡単ですが、料金を払って出版した書籍はブランディング向きではありません。

 

そこで商業出版をスムーズに実施するために、出版社を買収したいという企業もあるのです。このような企業とのM&Aでは、買収後に買い手企業の事業をアピールする書籍を出版し、営業支援に役立てます

 

6-2.コンテンツの海外輸出

 

大手出版社は海外向けの売上が上昇しているようです。小規模の出版社であっても、コンテンツを海外に輸出するためのプラットフォームを持つ企業とのM&Aが成立すれば、自社コンテンツを世界へ発信することで事業の成長を目指せます

 

新興国の所得が上昇してきている昨今、海外向けのコンテンツ販売事業は、ますますの成長が期待できる分野です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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