※画像はイメージです/PIXTA

出版社のM&Aは、事業承継を目的に行うケースはもちろん、業界での生き残り戦略としても有効です。積極的にM&Aに取り組むことで得られるメリットや、広がる可能性を見ていきましょう。買い手の目的や、実際に行われた出版社のM&A事例も紹介します。

7.出版社を引き継ぐ後継者・買い手の目的

 

このタイミングで出版社を引き継ぎたいと考えている後継者や、買収を検討している買い手は、何を目的にしているのでしょうか?M&Aを検討するにあたり、買い手の望むものを理解しておきましょう。

 

7-1.流通ルートの確保

 

出版業界へ参入する上で、流通ルートの確保は欠かせません。出版流通は出版社と書店を少数の取次会社が結ぶ『ひょうたん型』の構造をしています。そのため取次会社との取引がなければ、スムーズな出版は難しいでしょう。

 

そこで後継者や買い手は、流通ルートを確保するねらいで、既に取次会社と取引のある出版社を引き継ぐケースがあります

 

7-2.ノウハウ、優良コンテンツ等の獲得

 

自ら立ち上げた出版社で独自のコンテンツを作り、自社の強みに成長させるには、長い年月と多くの手間がかかります。努力を続けたとしても、新規参入では十分なノウハウがなく、うまくいかない可能性もあるでしょう。

 

一方M&Aによって出版社を引き継いだ場合、対象の出版社の持つノウハウやコンテンツを獲得できます。ほかにも必要な設備や技術はひと通りそろっている状態です。

 

出版社の状態によっては、後継者や買い手は出版社とのM&A直後から売上を得られるかもしれません。そのため後継者や買い手は、出版社の買収によって、どのようなノウハウやコンテンツを得られるのかを確認します。

 

7-3.紙媒体への根強い信頼感

 

出版社が制作する紙媒体の書籍は、編集者や校正者などたくさんのプロが携わり完成します。掲載されている情報が信頼できると十分に確認されているため、情報源として確かなものです。

 

Web媒体と違い、一度刊行すると簡単には修正できない点も、紙媒体への信頼感につながっています。「Webより書籍の方が信頼できる」というのは、社会全体の共通認識ともいえるでしょう。

 

そのため信頼感のある紙媒体の出版により、自社のPRに活用したいと考える買い手もいます

 

8.出版社が有する重要な権利も魅力に映る

 

後継者や買い手にとっては、出版社が持つさまざまな権利も魅力の一つです。知的財産権や出版権を得る目的で、出版社のM&Aを実施するケースもあるでしょう。

 

8-1.特許権、商標権などの知的財産権

 

出版社が『特許権』や『商標権』などを持っている場合、後継者や買い手はその『知的財産権』を取得したいと考えているかもしれません。出版業界に新規参入したり、事業を拡大したりする上で、知的財産権は魅力的だからです。

 

知的財産の価値は事業とセットで計算されますが、移転は株式譲渡によって自動的に行われるわけではありません。知的財産権の移転には、買い手による『移転登録』が必要です。

 

また自社を含む複数社で知的財産権を共有している場合、他の会社の同意を事前に得ておかなければ、持ち分を譲渡できません。

 

8-2.著作物の出版権

 

出版社が所有している『出版権』も、後継者や買い手が魅力に感じる部分です。出版権を引き継げれば、コンテンツを紙媒体やWebなどで独占的に販売できます。

 

株式譲渡により出版社の所有権が後継者や買い手に移っても、出版権は自動的に移るわけではありません。出版権を付与できるのは『複製権者』のみのため、複製権者の承諾が必要です

 

出版権の付与や譲渡については法律で定められています。誤った判断をしないためには、専門家のアドバイスを受けると確実です。

 

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