(※画像はイメージです/PIXTA)

今後、高齢化と少子化が進み、年金だけでは老後資金を賄えなくなっていくことが予想されます。そんななか、企業が比較的簡単に導入でき、社長、従業員ともに「3重の税制メリット」を受けながら老後の資金を積み立てられる制度があります。「企業型DC」というものです。本記事では、そのメリット、注意点についてお伝えします。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは

企業型DCは、「企業型確定拠出年金」の略称です。

 

企業がメンバー(社長、役員、従業員)のために掛金を毎月支払い、対象者個人が各自、年金資金の運用を行うことができる制度です。

 

期間中の運用実績に応じて年金原資が決まります。

 

従業員のための福利厚生の制度というイメージがありますが、社長も一緒に加入できます。

 

また、いわゆる「1人会社」でも「厚生年金」に加入していれば、活用できます。

 

最終的に、積み立てたお金を「年金」等として受給できるようになるのは、原則として「60歳」です。ただし、積立期間は最長で「70歳」まで設定することができます。

 

◆企業型DCの運用のしくみ

企業型DCの運営のしくみについて、概要のみお伝えしておきます。

 

企業型DCにおける掛金の運用には「運営管理機関」と「資産管理機関」の2種類の金融機関が関与します。

 

運営管理を「運営管理機関」が行い、運用を「資産管理機関」が行います。

 

掛金は会社が負担し、個人は「運営管理機関」が提示する金融商品のなかから好きなものを選ぶことができます。これを受け、「資産管理機関」が資産運用の実務や給付金の支払い等を担当するのです。

企業型DCの「3重の税制メリット」

企業型DCでは、「掛金拠出段階」、「運用段階」、「積み立てられたお金を受け取る段階」のそれぞれで税制メリットを受けることができます。

 

◆第1段階|掛金拠出段階

第一に、会社が掛金を拠出する段階です。

 

掛金が「福利厚生費」として会社の「損金」となります。

 

しかも、「給与」ではなく、あくまでも「福利厚生費」なので、社会保険料もかかりません。もちろん、個人の側でも、所得税・住民税が課税されず、社会保険料もかかりません。

 

◆第2段階|運用段階

第二に、払い込んだ資金が運用される段階です。

 

運用方法は自分で選ぶことができます。そして、運用益が出たら、本来であれば、所得税・住民税等合計20.315%が課税されるところ、企業型DCにおいては非課税です。

 

そうして得られた非課税の運用益を、複利運用することにより、さらに効率よくお金を増やせる可能性があります。

 

なお、年金資産には本来ならば特別法人税がかかりますが、時限措置で、2026年3月末まで凍結されています。なお、これはもともと2023年3月が期限だったものが更新されたものであり、次回期限も更新される可能性が考えられます。

 

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