(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業・個人事業主向けの制度として「経営セーフティ共済」があります。もっぱらクローズアップされるのは、「掛金が年間最大240万円まで経費になる」という点ですが、実は、それ以外にも「資金繰り」にメリットをもたらす活用法があります。本記事で紹介します。

経営セーフティ共済とは

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、月々の掛金を支払い、取引先が倒産して売掛金等が回収できなくなった際に、掛金総額の10倍まで借入ができる制度です。

 

運営母体は経済産業省が所管する「中小企業基盤整備機構」(中小機構)であり、多くの業種の中小企業・個人事業主が加入できます(【図表】参照)。

 

【図表】経営セーフティ共済の加入資格

 

本来、経営セーフティ共済は、取引先の倒産に巻き込まれて自社も倒産する「連鎖倒産」を防ぐためのものです。しかし、もっぱらクローズアップされるのは、以下の2つのメリットです。

 

・掛金全額・年最大240万円を経費計上できる

・3年4ヵ月(40ヵ月)以上加入した後はいつでも掛金全額を返してもらえる

 

これらについて、簡単に紹介しておきます。

◆掛金全額・年最大240万円を経費計上できる

まず、掛金を支払ったらその全額が経費に計上されるということです。掛金は月5,000円~20万円の範囲で設定できるので、最大で年240万円を経費にできます。

 

掛金は原則として「月払い」の引き落としですが、向こう1年分を一括して振り込む「前納」を選べば、いわゆる「短期前払費用」として、全額を経費処理できます。ただし、毎年そのつど「前納」の手続きをとる必要があります。

 

◆40ヵ月以上加入した後はいつでも掛金全額を返してもらえる

次に、40ヵ月(3年4ヵ月)以上加入した後であれば、解約した際にいつでも掛金全額が「解約手当金」として返ってきます。

 

すなわち、40ヵ月以上加入すれば、金を戻すタイミングを自由に選べるということです。

 

経営危機・赤字に陥ったときや、まとまった額の設備投資が必要なとき、自分自身が勇退して退職金を受け取るときに解約するのが効果的です。

経営セーフティ共済が「資金繰り」に及ぼすメリット

以上が、よく強調される経営セーフティ共済のメリットですが、実は、それ以外にも資金繰りにプラスとなる以下のメリットがあり、これが大きいのです。

 

1. 取引先の倒産による共倒れを防げる(本来の機能)

2. 資金繰りが苦しくなったら借入ができる

3. 急なビジネスチャンスにも借入ができる

4. 掛金の減額がペナルティなしでできる

 

◆取引先の倒産による共倒れを防げる(本来の機能)

まず、取引先の倒産による共倒れを防げるという「本来の機能」です。

 

中小企業・個人事業主の場合、取引先が特定かつ少数の相手方に集中していることがよくあります。

 

もし、その限られた取引先のうち一つでも倒産してしまうと、売掛金の回収が焦げ付き、資金繰りが苦しくなり、巻き添えに倒産してしまうリスクが考えられます(連鎖倒産)。

 

その場合、経営セーフティ共済に加入していれば、上述したように、払い込んだ掛金の10倍まで無担保・無利子で借入をすることができます。

 

その代わりに掛金全額が返ってこないことになりますが、担保をとられることなく無利子で借入ができ、しかも倒産を防げることを考慮すると、ある種の「保険料」と考えれば決して不利益な数字ではありません。

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