(※写真はイメージです/PIXTA)

贈与の証拠を残すために作成する書類である「贈与契約書」。贈与自体は口頭でも成立しますが、書面を残さなかったことで、のちのち税務署から狙われることも……。本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、贈与契約書の作成方法とともに、作成すべき理由を解説します。

贈与契約書の文例と書き方のポイント

贈与契約書は、どのように作成すればよいのでしょうか? 現金(預金)の贈与を前提とした贈与契約書のサンプルは、次のとおりです。

 

贈与契約書

贈与者 法律太郎(以下「甲」という)と、受贈者法律一郎(以下「乙」という)は、下記のとおり贈与契約を締結する。

 

 

第1条 甲は乙に対して現金300万円を贈与するものとし、乙はこれを承諾した。

 

第2条 甲は、前条に基づき贈与した現金を、令和5年5月31日までに、乙が別途指定する銀行預金口座に振り込むものとする。なお、振込手数料は甲の負担とする。

 

この契約を締結する証として、この証書を2通作成し、甲乙双方が署名捺印のうえ、各1通を保管するものとする。

 

令和5年5月1日

(甲)住所 東京都〇〇区〇〇1丁目1番地

〇〇マンション101号室

氏名 法律太郎 印

 

(乙)住所 東京都〇〇区〇〇2丁目2番地

コーポ〇〇202号室

氏名 法律一郎 印

 

また、贈与契約書の書き方のポイントは、次のとおりです。

 

贈与を行った日付を明記する

贈与契約書には、贈与契約を締結した日を明記しましょう。例でいうと、「令和5年5月1日」がこれにあたります。これは、実際に贈与契約の履行(お金の振り込みなど)をした日ではなく、「あげます」「もらいます」の意思表示が合致して、贈与契約を締結した日です。

 

贈与者と受贈者を明記する

贈与契約書には、贈与者と受贈者の情報を明記します。一般的には、住所と氏名を記載すれば問題ないでしょう。

 

なにを贈与するのかを明記する

贈与契約書には、なにを贈与するのかを明記します。お金の場合には、「現金300万円」などです。また、贈与対象物が不動産などである場合には、その後名義変更の手続きが必要となります。そのため、名義変更の手続きに利用できるよう、地番などで明確に特定しなければなりません。これについては、後ほど解説します。

 

双方が署名捺印する

贈与契約書には、贈与者と受贈者の双方が署名と捺印をします。使用する印鑑は認印でも構いませんが、できれば実印での捺印が望ましいでしょう。

 

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