他の年金が減る可能性も…「特別支給の老齢厚生年金」の注意点
1.時効
年金制度には、「時効」があります。年金が受給できる権利が発生して5年経つと、それ以前の年金は1ヵ月単位で、原則受給できなくなります。
これは言い換えれば、時効にかからない最大5年前までの年金であれば受給できるということです。ただし、人によっては、一度に多額の年金を受給することになり、課税の問題が生じかねません。そのため、多額の年金受給の可能性がある場合は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
2.在職老齢年金(令和4年3月以降)
年金を受給しながら厚生年金に加入して働くと、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて、下記のように年金が支給停止されるという「在職老齢年金制度」があります。
<「特別支給の老齢厚生年金」の場合の在職老齢年金の計算式と年金支給額※>
(1)基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
(2)総報酬月額相当額:ボーナスを含んだ1年間の給与の平均1ヵ月の金額
(1)+(2)が、
・48万円以下の場合
……全額支給
・48万円を超える場合
……基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2の年金が支給
※ 詳細は日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」を参照のこと。
3.雇用保険の高齢者雇用継続給付
また、雇用保険の高齢者雇用継続給付で給付されると、在職老齢年金に加えてさらに年金が最大6%支給が停止されることがあります。詳細は、日本年金機構HP※でご確認ください。
※ 日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」
間に合ってよかった…“臨時収入”にニンマリのA夫妻
A夫妻は、早速申請の準備をして社会保険事務所に行き、「特別支給の老齢厚生年金」受給の申請を済ませました。
てっきり65歳からと思っていた年金が、夫婦合わせて約206万円受給できます。思ってもみなかった臨時収入です。2人は、「なんだか申し訳ない」とニンマリし、そして、「これからはどんな郵便物も確実にチェックしよう」と誓ったそうです。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員
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