従業員に「汗水垂らして一生懸命仕事しろ!」は間違い!? 「コスト削減」のため大量生産すると“大損”してしまうワケ【公認会計士が解説】

従業員に「汗水垂らして一生懸命仕事しろ!」は間違い!? 「コスト削減」のため大量生産すると“大損”してしまうワケ【公認会計士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者・ビジネスマンにとって「会社の数字を意識して動けるか」は非常に重要ですが、それは「決算書類を読める」こととはまったく違います。本記事では、「IT」に精通した公認会計士で、会社の利益の最大化という見地からの「会社の数字」の読み方を提唱する金子智朗氏が、著書『管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング』(PHP研究所)から、「会社の数字」の合理的な読み方を解説します。

余裕があるときは「ボーっとしている」のが正解なワケ

確かに、仕事をせずにボーっとしているのは気まずいものです。上司にも「何ボーっとしてるんだ! そんな暇があったら仕事しろ!」と怒られるでしょう。

 

一方、汗水垂らして一生懸命働く姿は常に称賛の対象です。褒められることはあっても、怒られることはまずありません。上司からも、「あいつはよく頑張ってるな。よしよし」と思われ、人事評価も上がるでしょう。

 

これが普通の仕事観です。道徳観と言ってもいいかもしれません。

 

しかし、それは全くの感情論です。論理的には、そのとき、その工場ではボーっとしているのが正解だったのです。もしくは、暇なら休んでしまうのが正解です。

 

もし、製品単位コストの低減が製造部門の重要なKPIになっていたら、なおさら一生懸命になって製品を作ったでしょう。たくさん作ることが単位コストの低減につながるからです。人は採点基準通りに行動するのです。

 

こういう過ちを犯す根底にあるのは、量産効果に対する不正確な理解です。単に「たくさん作ればコストが下がる」と捉えていると、こういうことになります。

 

下がるのは単位コスト。総コストは必ず増える。そして、「単位当たり」とは「製造量単位当たり」であって、売れるかどうかは別次元の問題です。

 

これをすべての工員が正確に理解し、自らの行動に反映させることを期待するのは無理な話です。無理な話だからこそ、しかるべき人が正確に理解し、正しいKPIに反映させるということが重要です。

 

 

金子 智朗

ブライトワイズコンサルティング合同会社

代表

 

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

金子 智朗

PHP研究所

その仕事は外注すべきか、値下げすべきか、この事業から撤退すべきか。 合理的、戦略的に判断をくだす「数字で考える」トレーニング

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