「製造原価100円」のモノを「70円」で外注したら「コスト削減」…はウソ!実は「コスト増」で損するワケ【専門家が警告】

「製造原価100円」のモノを「70円」で外注したら「コスト削減」…はウソ!実は「コスト増」で損するワケ【専門家が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者・ビジネスマンにとって「会社の数字を意識して動けるか」は非常に重要ですが、それは「決算書類を読める」こととはまったく違います。本記事では、「会計」と「IT」に精通し、会社の利益の最大化という見地からの「会社の数字」の読み方の専門家である金子智朗氏が、著書『管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング』(PHP研究所)から、「会社の数字」の合理的な読み方を解説します。

外注したらコストは下がるか?

「外注したらコストは下がるか」という問題について、考えてみましょう。

 

A社は複数の製品を自社工場で製造し、販売しています。

 

その中の一つ、製品Xの製造原価は1個当たり100円です。

 

コスト削減の観点から、製品Xの製造を全面的に外注することを検討しており、外注先候補企業のB社に打診したところ、1個当たり70円で請け負うと言ってきました。

 

外注する場合、A社は完成品Xを仕入れて、自社の製品として販売することになります。

 

【演習問題1】

A社はB社に製品Xの製造を外注すべきでしょうか?あなたなら何と言いますか?

 

自社で製造している場合の製造原価が1個100円のものを、外注したら70円で作ってくれるならば、1個当たり30円もコストが下がります。これなら外注した方がいいに決まっています!

 

……と、考えそうですが、果たしてそうでしょうか?

 

ここでの正解は、「これだけでは分からない」です。

 

製造原価とは、原材料費や人件費、その他さまざまな費用が集計されたものです。その内訳が分からなければ、外注によって「なくなる費用」と「なくならない費用」が判断できません。

 

正しい意思決定のためには「変化する部分としない部分を見極める」ということが必要です。また、その前提として「要素に分ける」ということをしなければなりません。それができていないということです。

 

実務においては、「1個当たりの製造原価は100円」と言われると、とにかくこの数字が独り歩きします。そして、100円と70円を比較して、70円の方が安いからコストが下がると考えてしまいます。

 

製造業の製造部門の人でさえ、そのように考える人がたくさんいます。

 

ここでは、「これだけでは分からないので、製造原価の内訳を教えてくれ」と言うのが正解です。

 

【演習問題2】

製造原価の内訳を聞いたところ、[図表1]のようになっていることが分かりました。

 

直接材料費は製品Xの原材料費、直接労務費は製品Xの製造に直接携わる正社員の人件費です。製造間接費は、工場の減価償却費や火災保険料など、工場全体で発生する費用を製造時間に基づいて配賦したものです。

 

製造間接費は工場全体でほぼ固定的に発生していますので、製品Xという一つの製品を外注しても、その総額はほとんど変わりません。

 

内訳が分かったところで、さて、A社はB社に外注すべきでしょうか?

 

[図表1]製品Xの製造原価の内訳

 

ここで比較するのは、「内製する場合」と「外注する場合」です。問題は、「外注した場合になくせる費用はどれか」ということです。

 

よくある答えは次のようなものです。

 

【よくある答え】

「製造間接費は製品Xを外注しても総額がほとんど変わらない。

 

一方、直接材料費60円と直接労務費30円は製品Xの製造に直接発生しているということだろうから、製品Xの内製をやめればこの2つの費用はなくせる。

 

すなわち、1個当たり60円+30円=90円が削減できる。したがって、1個70円で外注することによってコストが削減できる」

 

果たしてそうでしょうか?

 

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管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

金子 智朗

PHP研究所

その仕事は外注すべきか、値下げすべきか、この事業から撤退すべきか。 合理的、戦略的に判断をくだす「数字で考える」トレーニング

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