「200万円の利益」を出したのに「1円も儲かっていない」と評価されてしまうのはなぜ? 知らないと怖い「“費用”と“投資”の違い」【公認会計士が解説】

「200万円の利益」を出したのに「1円も儲かっていない」と評価されてしまうのはなぜ? 知らないと怖い「“費用”と“投資”の違い」【公認会計士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

会社が「利益を出している」ということと、「儲かっている」ということは大きく異なります。その区別がわからないと、気付かないうちに損をする可能性があります。重要なのは、「費用」と「投資」の区別を明確に理解することです。『管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング』(PHP研究所)の著者で「IT」に精通した公認会計士である金子智朗氏が、会社の利益の最大化という見地から解説します。

儲かるかどうかは、どう判断する?

◆費用対効果? 投資対効果?

設備やシステムの導入を検討するとき、「費用対効果」と言う人と「投資対効果」と言う人がいます。この2つの言い方は何が違うのでしょうか?

 

「費用」と言うと何となく後ろ向きな、ネガティブなイメージで、「投資」と言うと何となく前向きな、ポジティブなイメージを持っているかもしれません。

 

しかし、両方ともやっていることは全く同じです。キャッシュ・アウトです。ネガティブもポジティブもありません。

 

では、違いは何かというと、それはキャッシュ・アウトの効果の長さです。

 

キャッシュ・アウトの効果が同一年度で完結する場合、それを費用と言います。それに対して、キャッシュ・アウトの効果が複数年にわたる場合、それを投資と言うのです。

 

したがって、設備の導入もシステムの導入も、基本的に投資です。高いお金を払って購入した設備やシステムを、まさか購入した年だけ使おうと思っている人は、普通はいないでしょう。

 

ですから、設備やシステムの導入を評価する際は「費用対効果」と言ってはいけません。「投資対効果」です。

 

投資はキャッシュ・アウトの効果が複数年にわたるものなので、投資を評価する際の最大のポイントは、複数年にわたる効果をどのように評価するかということになります。

儲かったかどうかは、キャッシュが増えたかどうか

それでは、投資の評価はどうすればいいのでしょうか? 次のケースで考えてみましょう。

 

【演習問題】

G社では、新たなサービスを顧客に提供するために、新しいシステムを導入することを考えています。購入額は1億円で、システムの取得時に一括で支払います。

 

このシステムは今後5年間使用することができ、その間に得られる売上高は[図表1]のように見込まれています。

 

一方、システムのランニングコストが毎年1,000万円発生し、それ以外にシステムの減価償却費が毎年2,000万円発生します。

 

このサービスは儲かるでしょうか?

 

[図表1]G社の新サービスの売上高の見込み

 

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管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

金子 智朗

PHP研究所

その仕事は外注すべきか、値下げすべきか、この事業から撤退すべきか。 合理的、戦略的に判断をくだす「数字で考える」トレーニング

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