儲かるかどうかは、どう判断する?
◆費用対効果? 投資対効果?
設備やシステムの導入を検討するとき、「費用対効果」と言う人と「投資対効果」と言う人がいます。この2つの言い方は何が違うのでしょうか?
「費用」と言うと何となく後ろ向きな、ネガティブなイメージで、「投資」と言うと何となく前向きな、ポジティブなイメージを持っているかもしれません。
しかし、両方ともやっていることは全く同じです。キャッシュ・アウトです。ネガティブもポジティブもありません。
では、違いは何かというと、それはキャッシュ・アウトの効果の長さです。
キャッシュ・アウトの効果が同一年度で完結する場合、それを費用と言います。それに対して、キャッシュ・アウトの効果が複数年にわたる場合、それを投資と言うのです。
したがって、設備の導入もシステムの導入も、基本的に投資です。高いお金を払って購入した設備やシステムを、まさか購入した年だけ使おうと思っている人は、普通はいないでしょう。
ですから、設備やシステムの導入を評価する際は「費用対効果」と言ってはいけません。「投資対効果」です。
投資はキャッシュ・アウトの効果が複数年にわたるものなので、投資を評価する際の最大のポイントは、複数年にわたる効果をどのように評価するかということになります。
儲かったかどうかは、キャッシュが増えたかどうか
それでは、投資の評価はどうすればいいのでしょうか? 次のケースで考えてみましょう。
【演習問題】
G社では、新たなサービスを顧客に提供するために、新しいシステムを導入することを考えています。購入額は1億円で、システムの取得時に一括で支払います。
このシステムは今後5年間使用することができ、その間に得られる売上高は[図表1]のように見込まれています。
一方、システムのランニングコストが毎年1,000万円発生し、それ以外にシステムの減価償却費が毎年2,000万円発生します。
このサービスは儲かるでしょうか?