(※写真はイメージです/PIXTA)

共同経営の会社で一方が身を引く決意をした場合、残されたパートナーもそれなりの決断を強いられます。もしも、一方の影響力があまりに大きければ、最悪の事態も想定する必要があるかもしれません。その際、残された側は、辞任する相手に対し、どこまで法的責任を追及できるものなのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、共同経営における代表の責任について、岡部宗茂弁護士に解説していただきました。

共同経営のパートナーから「辞任するなら責任をとってもらう」と法的措置を通告された

相談者のトレンドさん(仮名)は、共同経営でサービス業を営んでいます。小さな会社で、仕事はパートナーと2人で回している状況です。

 

現状、事業はうまくいっておらず、資金繰りに困窮しています。トレンドさんは、自身の報酬さえ払えない状態で、辞めることも視野に入れています。仮にトレンドさんが会社経営から身をひいた場合、残念ながら会社を畳むことになる可能性が濃厚です。なぜなら、業務の全般をトレンドさんがカバーしているからです。

 

そうした状況もあって、トレンドさんはパートナーから「現在仕掛中の仕事等で、万一損害を被った場合、責任を負ってもらう」と言われたそうです。然るべき通告をするとも。これまでに、トレンドさんとパートナー間でその件について特に書類等の取り交わしはしていません。

 

トレンドさんとしては、一方的な宣告に「実際にこういったことはあり得るのか」と不満と疑問を抱いています。

 

そこで、トレンドさんは、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)会社を辞職する場合、共同経営のパートナーに対し、どこまで責任を追及できるものなのか。その場合、法的にはどんな問題になるのか。

(2)通告が不服の場合、どんな対応が考えられるのか。

会社にとって「不利な時期」の辞任には要注意

会社と取締役との関係は、民法の「委任」に関する規定に従うこととなっている(会社法330条)ため、辞任すること自体はいつでも可能です(民法651条1項)。

 

しかし、民法は「相手方に不利な時期に委任を解除したとき」は、「相手方の損害を賠償しなければならない」と規定している(民法651条2項1号)ため、「相手方」すなわち「会社」にとって「不利な時期」に取締役を辞任した場合は、会社から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

 

ご相談の件では、業務全般を相談者さんがカバーしており、現在仕掛かり中の仕事もあるということなので、仮に相談者さんが突然取締役を辞任した場合、仕掛かり中の仕事を中断せざるを得なくなり、取引先に損害が発生してしまうこともあり得ると思われます。

 

そのような場合、会社が取引先に対して損害賠償せざるを得なくなることも考えられ、会社から相談者さんに対し「不利な時期」の辞任であるとして損害賠償請求がなされる可能性も出てきます。

 

しかし、民法は、「やむを得ない事由があったとき」には、損害賠償をする必要はないとも規定しています(民法651条2項柱書但書)。どのような場合に「やむを得ない事由」があったと判断されるかについては、先例が乏しく判断が難しいのですが、一般的に病気療養の必要性などは「やむを得ない事由」に当たると考えられています。

 

また、ご相談の件については、そもそも事業がうまくいっておらず、資金繰りに困窮しており、相談者さんは自分の報酬さえ払えない状態ということですので、具体的な状況によっては「やむを得ない事由」があると判断されることもあるのではないかと考えられます。

 

例えば、共同経営パートナーに対して、早く取締役を辞任したいという意思を明確にし、業務の引継ぎを繰り返し申し出ていたにもかかわらず、共同経営パートナーから辞任や業務の引継ぎを許されず、かつ、役員報酬も長期間支払われていない等の事情がある場合には、「やむを得ない事由」があったと認められるケースもあり得るのではないかと思われます。

 

ただし、そのような場合であったとしても、取引先に迷惑がかからないようにする措置は可能な限り講じておいた方が良いでしょう。

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