(※写真はイメージです/PIXTA)

交通事故はいつ誰にでも起こりうるトラブルです。運悪く被害者になった場合、それまでの生活に支障をきたし、本当に憂鬱で辛い日々を送ることにもなりかねません。加害者側とは保険会社を通しての対応となることが一般的ですが、その対応や賠償金についてはよく分からないという方がほとんどでしょう。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、交通事故における保険会社の対応や賠償額の相場等について、古山隼也弁護士に解説していただきました。

誠意のかけらもない保険会社の対応

相談者のユキナさん(女性、仮名)は、交通事故に遭い、会社を休んでいます。有給を使い、1ヵ月が過ぎたところです。

 

なんとか生活はしていけているものの、薄給を支えていた残業および夜勤がないため、ギリギリの状態です。

 

加害者側とは保険会社を通してやりとりし、現在、休業損害手当をもらうため、手続きも進めています。その他、治療費、通院のための交通費など諸々も、支払ってもらう予定です。ユキナさんにとって、全てが初めてのことで、分からないことだらけ。

 

自身の対応の仕方に至らないところもあるかもしれないと自覚する一方で、保険会社のあまりにひどい対応に不信が募るばかりといいます。

 

交通費は「後々分かりづらくなるからひとまず被害者負担で」、休業損害手当は「示談後に支払う」など、 まるでユキナさんが加害者のような冷徹で突き放すような扱いです。挙句に「不満があるなら弁護士を通して」と高圧的に言われたそうです。

 

「こんなものだろう」とは到底納得できない保険会社の誠意のかけらもない対応に憤懣(ふんまん)やるかたないユキナさんは、せめて溜飲を下げようとココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

(1)高圧的な保険会社のこのような対応は、被害者側に対して適切といえるのか。

(2)こちらの生活も逼迫する中、休業損害や交通費等の支払いはやはりまず自腹が妥当なのか。

(3)休業損害手当に残業代等も盛り込んだ金額を期待することは無理すじなのか。


保険会社のお客様は契約者であって“被害者”でない

保険会社の態度に苦しめられる被害者は意外と多い

「自分も仕事中なのに保険会社から平日日中に何度もしつこく電話がかかってくる。」

 

「治療を受けていたら、保険会社から『まだ通院しているのか。』と言われた。」

 

「保険会社から送られてくる書類や電話で言われた内容が分からない。」

 

「高圧的に言われるので、保険会社からの電話が怖い。自分の携帯電話に保険会社からの着信履歴が残っているのを見ただけで、じんましんが出るようになった。」

 

「自分が被害者なのに、保険会社からあたかも加害者にように言われる。」

 

「事故のケガで仕方なく仕事を休んでいるのに、保険会社から『いつになったら復帰するのか。』と責められた。」

 

これらは、私のもとにご相談に来られる交通事故の被害者の方々が実際におっしゃられた、保険会社に対する不満の一部です。交通事故によって被害を受けたにもかかわらず、保険会社の態度によってさらに苦しい思いをするケースは、意外と多いです。

 

「十分な賠償金を獲得したい。」という動機で弁護士に依頼される方は多いですが、「保険会社の態度が悪いので、自分の代わりに弁護士がやりとりしてほしい。」といった理由で弁護士に依頼される方もかなりいらっしゃるというのが実感です(「弁護士へ依頼した後は保険会社から電話がかかってこなくなる。」と聞いて喜ばれる方も多いです)。

保険会社にとって「お客様」は契約者であって被害者でない

そもそも、保険会社にとっての「お客様」は保険料を支払ってくれる契約者(加害者本人か加害者の親族であることが多いです。)であって、被害者ではありません。

 

保険会社の広告で「満足度」という指標が使われていますが、ここでいう「満足度」は、一般的に、保険料の安さやロードサービスの充実さなど、費用や契約者の受けるサービスが対象となっていて、事故対応についても契約者が評価したものです。むしろ、保険会社は営利団体なので、利益を上げるため被害者への賠償額を抑えたいと考えています。

 

保険会社にとって、被害者は「利害の対立する交渉相手」なのです。

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