(※写真はイメージです/PIXTA)

共同経営の会社で一方が身を引く決意をした場合、残されたパートナーもそれなりの決断を強いられます。もしも、一方の影響力があまりに大きければ、最悪の事態も想定する必要があるかもしれません。その際、残された側は、辞任する相手に対し、どこまで法的責任を追及できるものなのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、共同経営における代表の責任について、岡部宗茂弁護士に解説していただきました。

弁護士のアドバイスを受けながら対応を

それでは、相談者さんは今後どのようなことに注意して対応していくのがよいでしょうか。

 

まず、会社から損害賠償請求を受けるリスクを少しでも減らすため、自分で責任を持てない新規受注についてはできる限り控えるということです。もし会社や取引先から損害賠償請求を受けるとすれば、辞任によって取引先に損害が発生してしまうケースが想定されますので、そもそも取引先に迷惑がかかるかもしれない仕事はできる限り受けない方がよいと思います。

 

また、いざという場合に「やむを得ない事由」があると評価してもらいやすくするためにも、共同経営パートナーに対して辞任意思を明確に告知し、期限を切って引継ぎを求めることなども検討した方がよいでしょう。共同経営パートナーへの通知は、内容証明郵便や電子メールなど、通知したことが後日確認できる方法が望ましいと思います。

 

ただし、会社の定款上、取締役の員数が定められている場合など、自分の辞任によって欠員が生じてしまうケースにおいては、結局、後任の取締役が選任されない限り取締役としての義務を負い続けることになる(会社法346条1項)ため、注意が必要です。

 

さらに、状況によっては、取引先から直接相談者さんに対して損害賠償請求がなされる可能性もあります(会社法429条1項)。この場合も、取引先に迷惑がかからないようにする措置等を可能な限り講じておくことで、損害賠償請求の要件である取締役としての「任務懈怠」あるいは「重過失」が認められにくい状況を作っておく必要があります。

 

いずれにしても、具体的にどのような対応をするべきかについては、具体的状況下におけるケースバイケースの判断となりますので、弁護士のアドバイスを受けながら対応した方がよいと思います。

 

なお、会社が債務超過の状態にある場合で、どうしてもやむを得ない場合であれば、取締役として会社の破産申立て(準自己破産申立て)をするという手段も最終的な選択肢としては考えられます。もっとも、多額の費用負担など、様々な事実上の負担も生じることになるため、弁護士の助言を受けながら、ご自身にとって最適と思われる方針を選択していくしかないのではないでしょうか。

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