(※写真はイメージです/PIXTA)

未成年者の監護養育や財産管理、契約などの法律行為などを行う「未成年後見人」。なんらかの事情で親権者がいなくなってしまった未成年者には、未成年後見人が必要になります。では、自分の死後、DVをしていた元夫に親権を移さず、第三者に未成年後見人になってもらうにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、未成年後見人についてわかりやすく解説します。

未成年後見人を選任する手続き・流れ

(※写真はイメージです/PIXTA)
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未成年後見人を選任し、就任するまでの手続きと流れは、次のとおりです。

 

ケース1:遺言で指定されている場合

未成年後見人が遺言で指定されており遺言者である最後の親権者が死亡した場合には、戸籍法にもとづく届出をすることで、遺言で指定された人が未成年後見人に就任します。具体的には、最後の親権者である遺言者の死亡後10日以内に、未成年者の本籍地を管轄する市区町村役場に届け出ることが必要です(戸籍法81条)。

 

届出の際には、原則として次のものが必要となります。

 

・市区町村役場に備え付けの「未成年者の後見届」

・未成年後見人に指定された自筆証書遺言や公正証書遺言の謄本など

 

状況によってはこれら以外の書類が必要となる場合もありますので、届出先の市区町村役場へあらかじめ電話などで確認してから出向くとよいでしょう。

 

ケース2:家庭裁判所に選任してもらう場合

未成年後見人を家庭裁判所に選任してもらう場合の基本の流れは、次のとおりです。

 

ステップ1:必要書類の収集と作成をする

未成年後見人を家庭裁判所に選任してもらうためには、さまざまな書類が必要となります。基本的な必要書類は、次のとおりです※2

 

1. 取り寄せる書類

・未成年者の戸籍謄本

・未成年後見人候補者の戸籍謄本

・未成年者の住民票または戸籍の附票

・未成年後見人候補者の住民票または戸籍の附票

・親権者の死亡が分かる戸籍謄本など、親権者がいなくなったことのわかる資料

 

2. 作成する書類

・未成年後見人選任申立書

・申立事情説明書

・親族関係図

・財産目録

・相続財産目録

・収入予定表

・未成年後見人候補者事情説明書

 

申立てにはさまざまな書類が必要となるうえ、状況によってはこれら以外の書類も必要となります。そのため、弁護士などの専門家のサポートを受けながら手続きを進めるとよいでしょう。

 

ステップ2:家庭裁判所に申立てをする

必要書類が揃ったら、家庭裁判所に未成年後見人の選任申立てを行います。申立先の家庭裁判所は、未成年者の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所です。なお、申立ての際には未成年後見人の候補者を記載することができますが、必ずしもこの候補者が選任されるとは限りません。家庭裁判所の判断で、候補者以外の者が選任される可能性があります。

 

また、仮に候補者が未成年後見人として選任された場合であっても、弁護士や司法書士などの専門家がその未成年後見人を監督する「未成年後見監督人」として選任されることもあります。

 

ステップ3:戸籍への掲載

家庭裁判所で未成年後見人が選任されると、選任からおおむね2週間程度で、未成年者の戸籍に未成年後見人の情報が掲載されます。この手続きは家庭裁判所が行いますので、遺言で選任された場合とは異なり、未成年後見人が自ら届出をする必要はありません。

 

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