(※写真はイメージです/PIXTA)

未成年者の監護養育や財産管理、契約などの法律行為などを行う「未成年後見人」。なんらかの事情で親権者がいなくなってしまった未成年者には、未成年後見人が必要になります。では、自分の死後、DVをしていた元夫に親権を移さず、第三者に未成年後見人になってもらうにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、未成年後見人についてわかりやすく解説します。

「未成年後見人」とは?

未成年後見人とは、未成年者の監護養育や財産管理、契約などの法律行為などを行う役割を担う人です※1

 

日本の法律では、18歳未満の未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を得なければならず、この規定に反する法律行為は取り消すことができるとされています(民法5条)。なぜなら、未成年者は判断能力が未成熟であるがゆえに、不利な契約を締結してしまうリスクなどが高いためです。

 

そして、一般的にこの法定代理人は未成年者の親権者が担っています(民法818条)。原則として、この親権者は未成年者の父母ですが、父母が離婚をした場合や父母の一方が死亡した場合などには、いずれか一方の親権に服します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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しかし、なんらかの事情で親権者が誰もいなくなってしまうこともあるでしょう。そのような状況では、未成年者にとってさまざまな支障が生じます。未成年者が幼い場合には1人で生きていくことは困難ですし、ある程度成熟した年齢であっても未成年者である以上、契約の締結などが有効にできないためです。

 

そこで登場するのが、未成年後見人です。未成年後見人が未成年者に代わって契約締結などの法律行為をしたり、未成年者の財産管理や身上監護をしたりすることで、未成年者が社会生活を送りやすくなります。

 

未成年後見人が必要となるケース

未成年後見人が必要となるのは、未成年者に親権者が誰もいなくなってしまった場合です。具体的には、次のケースなどが考えられます。

 

・父母が2人同時に死亡した場合

・父母が離婚して一方が親権を持ったが、親権を持った親が死亡した場合

・もともと親権者であった者が親権を喪失した場合

 

一方、離婚や一方の死亡などで親権者が1人になった場合でも、1人でも親権者がいるのであれば、未成年後見人が就任することはありません。

誰が未成年後見人になるのか?

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

親権者がいなくなった場合、未成年後見人になるのは誰なのでしょうか? また、未成年後見人は、誰がどのように決めるのでしょうか? それぞれ解説していきます。

 

未成年後見人になれない人

未成年後見人になるために、特に資格などは必要ありません。また、未成年者の親族であることなどの制限もありません。ただし、下記の人は欠格事由に該当し、未成年後見人になることはできないとされています(民法847条)。

 

・未成年者

・もともと法定代理人や保佐人、補助人であったものの、家庭裁判所に免ぜられた者

・破産者

・その未成年者に対して訴訟をした者やその配偶者、直系血族

・行方の知れない者

 

未成年後見人を決める方法

未成年後見人は、誰がどのように決めるのでしょうか? 決める方法には、次の2つのパターンがあります。

 

1.遺言で指定する

未成年後見人を決める1つ目の方法は、遺言書で指定する方法です。未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定することができるとされています(民法839条)。たとえば、離婚をして単独親権となっている者が、子供が未成年のうちに自分が死亡した場合に備えて、子供をかわいがってくれている自分の妹を未成年後見人として指定する遺言書を作成しておくことなどが考えられます。

 

2.家庭裁判所が選任する

未成年後見人を決める2つ目の方法は、家庭裁判所に選任してもらう方法です。遺言のない状態で親権者が不在となった場合などには、こちらの方法が適用されます(民法840条)。家庭裁判所は、次の状況などを総合的に考慮して、未成年後見人を選任することとされています。

 

■未成年被後見人についての次の事項

・ 年齢

・心身の状態

・生活と財産の状況

 

■未成年後見人となる者の次の事項

・職業と経歴

・未成年被後見人との利害関係の有無

・法人であるときは、事業の種類、内容、その法人や法人代表者と未成年者との利害関係の有無

 

■未成年被後見人の意見

 

親権者が死亡したら元配偶者に「自動的に」親権が移る?

離婚によって夫婦の一方(仮に、妻)が親権を持った場合、その後、この妻が亡くなったからといって、自動的に元夫へと親権が移るわけではありません。ただし、未成年後見人が遺言などで指定されていなかった場合において、親権者であった妻の死亡後に元夫から親権者変更の申し立てがされた場合には、これが認められる可能性が高いでしょう。

 

そのため、たとえば元夫が子供に暴力を振るっていたなど、自分が亡くなっても元夫に親権を渡したくない事情がある場合には、遺言で未成年後見人を指定しておくことをおすすめします。遺言で未成年後見人が指定されていれば、仮に元夫から親権者変更の申立てがされたとしても、遺言での指定が優先される可能性が高いためです。

 

ただし、たとえ遺言書の指定どおりに未成年後見人が選任されたとしても、元夫が家庭裁判所に「未成年後見人よりも自分の方が親権者としてふさわしい」などとして、親権者変更の審判を申し立てる可能性は否定できません。この場合、裁判所は子供の利益や福祉を総合的に考慮して、親権者変更を認めるべきかどうかを判断することとなります。

 

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