(※写真はイメージです/PIXTA)

未成年者の監護養育や財産管理、契約などの法律行為などを行う「未成年後見人」。なんらかの事情で親権者がいなくなってしまった未成年者には、未成年後見人が必要になります。では、自分の死後、DVをしていた元夫に親権を移さず、第三者に未成年後見人になってもらうにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、未成年後見人についてわかりやすく解説します。

未成年後見人を引き受ける際の注意点

(※写真はイメージです/PIXTA)
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未成年後見人には、未成年者を監護養育する重い責任が生じます。では、未成年後見人を引き受ける際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか? 主な注意点は、次のとおりです。

 

善管注意義務がある

未成年後見人には、善管注意義務が課されます(民法869条・644条)。善管注意義務とは「善良な管理者の注意義務」のことであり、委任された業務の内容や社会的地位などから考えて、通常期待される注意義務のことです。

 

たとえば、未成年後見人が被後見人である未成年者の財産と自己の財産を混同してしまうことなどは、善管注意義務違反に問われる可能性が高いでしょう。善管注意義務に違反をすると、未成年後見人から解任される可能性があるほか、損害賠償請求をされたり刑罰を受けたりする可能性があります。

 

なお、善管注意義務と対比するものに、「自己のためにすると同一の注意をなす義務」が存在します。これは、自分の持ちものと同等の注意義務のことであり、注意すべきレベルは善管注意義務より一段低くなります。未成年後見人に善管注意義務が課されている一方で、親権者が負う注意義務は「自己のためにすると同一の注意をなす義務」です(民法827条)。

 

戸籍に記載される

未成年後見人に就任すると、未成年後見人の氏名と本籍が、被後見人である未成年者の戸籍に記載されます。つまり、未成年者の戸籍謄本などを取得すると、未成年後見人の氏名や本籍を見ることができるということです。

 

解任されることがある

未成年後見人に不正な行為がある場合など後見の任務に適しない事由があると判断された場合には、未成年後見人を解任されることがあります。善管注意義務違反などをして解任されないよう、責任をもって職務を遂行することが必要です。

 

正当な理由がなければ辞任できない

未成年後見人は、未成年者の監護養育や財産管理などをする、非常に重要な役割を担います。そのため、簡単に辞任できるものではありません。

 

未成年後見人を辞任するには、正当な事由があることに加え、家庭裁判所の許可を得ることが必要です。正当な事由としては、たとえば未成年後見人の病気や高齢、遠隔地への転居などが考えられます。一方、単に後見事務が面倒になったという程度では、辞任が認められる可能性は低いでしょう。

 

また、後見の空白期間が生まれないよう、未成年後見人の辞任する申立てと併せて、後任の後見人を選任するための「未成年後見人選任」の申立てをすることが求められています※3。これは、未成年後見人が被後見人である未成年者の利益を保護するための制度であり、簡単に辞任されてしまうと未成年者の利益が保護されないと考えられるためです。

信頼できる相手を後見人にするなら、遺言書での指定が必須

(※写真はイメージです/PIXTA)
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未成年後見人とは、未成年者に代わって契約などの法律行為をしたり、未成年者の監護養育や財産管理などをしたりする人です。このような役割は通常親権者が担いますが、親権者が不在となった際には、選任された未成年後見人がこれらの役割を担います。

 

未成年後見人は家庭裁判所に選任してもらうことも可能ですが、自分の望んだ信頼できる相手を未成年後見人とするためには、遺言で指定しておくとよいでしょう。特に両親のもう一方が親権者となることを避けたい事情がある場合や、すでに死亡しているなどの事情がある場合には、遺言書での指定が必須であるといえます。

 

しかし、遺言書の作成には、法律上さまざまな要件があり、1つ間違えば遺言書が無効となってしまうリスクがあります。そのため、未成年後見人を指定する遺言の作成をする際には、弁護士へ相談のうえ作成するとよいでしょう。

 

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所

 

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