「日経新聞の切り抜き」を25年間継続し、会社四季報を100冊読破した複眼経済塾の渡部清二代表。渡部氏は、情報を株式投資に生かす際には「連想」が不可欠であるといいます。今回は、そんな「連想力」を高める3つのポイントについて、具体的な事例を交えてみていきましょう。
2.誰が儲かるのかを考える
この2つ目のポイントを説明するときに、私がいつも例として挙げるのがジーンズメーカーのリーバイスの話である。
1800年代中頃の西部開拓時代、アメリカはゴールドラッシュに沸き、多くの人が砂金(さきん)探しに明け暮れた。運よく砂金探しで儲けた者がいたが、一方には砂金探しをせずに儲けた者がいた。それが砂金探しをする人たちにジーンズを提供し、後に世界的アパレルメーカーとなったリーバイスの創業者、リーバイ・ストラウスである。
砂金探しには作業着が必要になる。それも丈夫であれば売れるはずだというシナリオを描けたことが、リーバイスの成功のカギになったわけだ。
こうした成功例を踏まえた上で、儲かっている業種・銘柄を探し出すことが重要になる。「今、売れているものはこれだ」→「だったらこれも売れるのでは」と連想することによって、意外に身近なところで売れるものが見つかるかもしれない。
その例がスマホ用のワイアレスイヤホン、PC用のワイアレスマウス、モバイル機器への音楽や映画の配信サービス、ネット上のデータを保存・管理できるクラウドサービス等々であり、数え上げたら切りがないほどある。
連想といえば、「風が吹けば桶屋(おけや)が儲かる」という株式投資の有名な格言を知っている人は多いだろう。その内容は次のとおりだ。
強い風によって砂ぼこりがたつと、砂ぼこりが目に入ったために目が見えない人が増え、その人たちが三味線で生計を立てようとするため、三味線が多く必要になり、三味線の胴に張る猫の皮の需要も増え、そのために猫がへり、その結果、増えた鼠(ねずみ)が桶をかじるので桶屋が儲かって喜ぶ。
この格言は、ある出来事によって、まったく無関係と思われるところに影響が出る、また、とてもあてにできそうもないことに期待をかけるたとえであり、「誰が儲かるのか」を示唆してくれる連想のシナリオになっている。
複眼経済塾
代表取締役塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。
野村證券本店在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報徹底読破」を開始。2014年の独立後も25年以上継続中で、2022年10月1日には四季報100冊読破。記念月例会を日本の株式取引発祥の地、日本橋兜町ホールで開催。
テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。
「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一「四季報」を愛する男」と紹介された。
〈所属団体・資格〉
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定AFP
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト
神社検定1級、日本酒検定準1級
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連載会社四季報を「100冊」以上読破!投資のプロが教える「10倍株」の見つけかた