切り抜きを株式投資に生かすには「連想」が不可欠
指標ノートのコメント欄に新聞から拾ったキーワードを記入したり、新聞を切り抜いたりしているときに、「こんな展開があるのではないか」「こういう未来があるのではないか」などと、あれこれ思いを巡らせることが肝要だ。
コメントの記入、新聞の切り抜きは単純な作業ではある。しかし、単にコピペしているだけでなく、日々手作業しているからこそ気づくことがあって連想が膨らみ、産業・企業動向を読む幅が広がっていく。
そして、「あれとこれがつながる」という気づきによって、具体的な銘柄選びにまで行き着くことができれば、あとは選択した企業がどのような企業か、四季報で詳細をチェックすればよく、その精査次第で株式投資の成果が得られることになる。
つまり、「指標ノート作り」も「新聞切り抜き」もそのための準備作業だ。たとえるならこの2つは「株式投資を成功に導くシナリオの素材」と言うことができる。では、シナリオの素材を前にして、どのようにすれば「連想する力」を高められるのかというと、次の3つが重要なポイントになる。
「連想する力」を高める3つのポイント
1.半歩先を連想してシナリオを描く
2.誰が儲かるのかを考える
3.世の中の変化を読む
1.半歩先を連想してシナリオを描く
他者と横並びの状態では株式投資で成果を得ることはできないので、他者より半歩先のシナリオを描くことが重要になる。なぜなら、株は先行投資であり、先行した分が利益につながるからだ。
たとえば、〈2021年3月13日のメモ「JR東日本終電繰り上げ 1987年民営化以降で初」〉という項目で紹介したカクヤスグループの場合、整理してみるとシナリオの流れは次のようになる。
JR東日本終電繰り上げ
→生活スタイルの変化
→コンビニの24時間営業がなくなる可能性
→超高齢社会の進行
→買い物に行けない高齢者の増加
→昔の酒屋さんの御用聞き文化の復活
→お酒を中心とした流通のインフラ構築をしている企業
→カクヤスグループ(7686)
また、「ノルウェー中銀ゼロから利上げ(指標ノート 2021年9月23日)」という項目で、「2022年7月中旬には1ドル約138円に、さらに10月20日には150円台まで円安が進んでおり、円安がどこまで続くのか予断を許さない」と述べたが、その弊害だけにとらわれずに、いい意味での円安の経済効果を連想してみると次のようなシナリオになる。
円安
→コロナ禍が終息するにつれて外国人観光客が増加
→観光・旅行・ホテル関連が再び活性化
→ジャポニズムが味わえる場所やモノに人気が集まる
→2025年には大阪・関西万博が開催される
→外国人観光客をもてなすには自動翻訳機があれば便利
→自動翻訳機を手掛けている企業
→『ポケトーク』で知られているソースネクスト(4344)
ほかにもGoogle翻訳、iPhoneの翻訳アプリなども、今後どれほど機能を高め、利便性を向上させていくか気になるところである。訪日観光客に限らず、ビジネス上などでも国際交流が広がり、自動翻訳機の需要増大が予測されるので、翻訳ソフトを手掛けている企業を投資の対象にすることも考えられる。