年金加入者が公的年金を受給する前に逝去した場合、遺族が受け取れる代表的なものが「遺族年金」ですが、その他にも遺族のための給付の制度があります。しかし、いずれも制度を知り、申請しなければ受給できません。年金制度に詳しい社会保険労務士の小泉正典氏が監修した『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2023-24年最新版』(ART NEXT)から、わかりやすく解説します。
もらえるはずだった故人の年金は遺族が代わって受け取れる
◆遺族が請求できる年金は意外と多い
年金の支給月より前に亡くなった人や、年金を受け取る権利があったのに、請求せずに亡くなった場合、もらえるはずだった年金を「未支給年金」として遺族が代わって受け取れます([図表3]参照)。
たとえば、老齢年金を受給中の人は、亡くなった月までの年金をもらう権利があります。
しかし、年金は後払いのため偶数月に亡くなった人は1ヵ月分、奇数月に亡くなった人は2ヵ月分の年金が未支給になります([図表4]ケース1参照)。
また、繰り下げ待機中の人が年金を受給する前に亡くなった場合も、65歳からもらえるはずだった年金を遺族が5年前までさかのぼって請求することができます([図表4]ケース2参照)。
老齢年金以外にも、障害年金、遺族年金、寡婦年金を受給する要件を満たしていた人が、各年金を請求せずに亡くなったときも、遺族が代わって受け取れる場合があります。
受け取れる遺族の範囲は、優先順位が高い順から、配偶者(事実婚を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等以内の親族です。
いずれも、遺族の年齢に制限はありません。ただし、死亡日時点で、亡くなった人と生計を同じくしていた人が対象です。
小泉 正典
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士
1971年生まれ。栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒業。社会保険労務士小泉事務所代表。一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。
専門分野は、労働・社会保険制度全般、および社員がイキイキと働きやすい職場づくりのコンサルティング。監修書に『知らなきゃ大損!あなたを助ける 社会保障一覧表 2023年度版』(アントレックス)、『60歳からの「届け出」だけでお金がもらえる本』『知って得する!60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』『60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』『知った人から得をする! 60歳からの「届け出」だけでもらえるお金 最新版』(すべて宝島社)、『最新版 図解「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)があるほか、メディア出演、講演、セミナーなども多数。
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