「損益計算書」から企業の“安全性”がはっきりわかる「4つの利益率」の読み方【人気簿記講師(税理士)が解説】

「損益計算書」から企業の“安全性”がはっきりわかる「4つの利益率」の読み方【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は、損益計算書の数字を基に算出できる、企業の収益性の高さを示す4種類の「利益率」について解説します。

決算書から「安全な」取引先を見抜くコツ

突然ですが問題です。

 

あなたは当期純利益が1億円のA社と、当期純損失が1億円のB社、どちらと取引しますか?

 

当期純利益が1億円あるA社と即答したいところですが、A社の損益計算書を読んでみると、経常損失が3億円あり、過去の決算書を確認しても、経常損失は2億、2億、3億と3期連続赤字です。

 

債務超過になり、仕方なく過去に買った赤坂の土地を売却し、何とか4億円の土地売却益(特別利益)を計上し、最終利益である当期純利益を1億円の黒字にしていたのです。来期も経常利益が出る見込みはありません。

 

一方、B社は経常利益を3億、4億、3億と3期連続黒字でしたが、今期「もらい火」によって、倉庫が燃え火災損失(特別損失)が4億円になり、当期純利益は1億円の赤字になりました。

 

しかし、本業には影響がほぼなく、来期の経常利益が3億円程度は見込まれます。

 

[図表7]A社・B社の当期純利益の内訳

 

このように、今期の当期純利益率が高い、低いだけで一喜一憂はできません。特別利益・特別損失は当期だけ生じる一過性の要因であるため、特別利益・特別損失の発生があれば期によって当期純利益は大きく変動する可能性があります。

 

なお、「税引前当期純利益率」を割愛しましたが、「税引前当期純利益率」と「当期純利益率」の違いは、「法人税、住民税及び事業税」だけなので、当期純利益率を確認すれば分析に必要な情報は十分得られます。

 

■Point!

売上高は会社によって異なるため、「利益率」によって各社の収益性を分析する必要がある。また5つの利益それぞれの性質に応じて、利益率をチェックするポイントも変わってくる。

 

 

石川 和男

合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

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石川 和男

PHP研究所

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