「特別損失」に該当する費用の具体例
◆「特別損失」には、このようなものが該当する!
「特別損失」には、火事による火災損失、事務所に泥棒が入ったことによる盗難損失などが該当します。火事、盗難はあくまでも臨時的・偶発的に起こるものですので、特別損失になります。
特別損失には、このほかに取引先に損害を与えた場合などに、それを補てんするために生じた損害補償損失や、リストラした社員に退職金を支払うために生じた「事業整理損失」などがあります。
なお、本業が不動産販売の会社が、建物や土地を売れば売上高になりますが、本業以外の会社なら特別利益の「固定資産売却益」や特別損失の「固定資産売却損」になります。
また、「特別利益」と「特別損失」は臨時的・偶発的に発生した収益と費用であり、今期限りの一過性のものなので予測不能です。来期以降生じる収益・費用の予測には使いません、というより使えませんよね。
「税引前当期純利益」が確定すると、会社の儲けに対して課される「法人税、住民税及び事業税」が計算されます。「税引前当期純利益」から「法人税、住民税及び事業税」を差し引き、最終的な利益である「当期純利益」を求めます。
「当期純利益」は、会社が1年間に生み出した「最終的な利益額」を意味します。
最終的な利益額は、株主への配当の財源となる利益の増加額なので、「当期純利益」を一番気にする株主もいます。
また、当期純利益は貸借対照表の純資産である繰越利益剰余金を増加させます。損益計算書の最終値である当期純利益が、貸借対照表の純資産を増加させる点で、損益計算書と貸借対照表は当期純利益で繋がっているのです([図表2]参照)。
損益計算書の仕組みをまとめると[図表3]のようになります。
登場人物は、3つの収益、5つの費用、5つの利益。ですが、企業分析をする上で見るべきは、税引前当期純利益を除く「4つの利益」です。ここから、その会社の強みや実力が見えてきます。
■Point!
いわゆる「4つの利益」─売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益から、会社の強み・実力を分析する糸口をつかむ。
石川 和男
合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
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