「損益計算書」から会社の「収益力」と「経営危機か」を一発で見抜けるポイント【人気簿記講師(税理士)が解説】

「損益計算書」から会社の「収益力」と「経営危機か」を一発で見抜けるポイント【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は損益計算書の「経常利益」「当期純利益」の算出過程からその会社の収益力を見抜くポイントを説明します。

◆「営業外費用」には、このようなものが該当する!

営業外費用は、営業収益と逆で会社が本業以外の事業活動を行うなかで発生する費用です。

 

代表的なものが、受取利息の反対で、借り入れたことでかかる支払利息です。

 

また、外貨建取引を行っている場合に為替相場の変動により、損した場合の為替差損も営業外費用に計上されます。

 

会社が成長を目指し、借金により調達したお金を設備投資に使うのであれば、借金自体は悪いことではありません。

 

しかし、借り入れには利息が発生します。支払利息は、費用なので経常利益を圧迫します。その面でも貸借対照表に計上される借入金の金額には注意が必要です。

 

営業外の項目の代表としてあげた利息ですが、利息は金融活動から生じます。会社は本業の営業活動以外にも、お金の貸し借りといった金融活動や、資金調達といった財務活動を行って事業を継続しています。

 

金融活動や財務活動は、本業ではありませんが毎期反復して継続的に行われます。

 

経常利益とは、毎期継続的・反復的に生じる収益と費用を対応させて求める利益であり、本業の成績だけではなく、金融活動、財務活動が上手に行えているかが反映されます。

 

経常利益は、会社が経常的日常的に稼げる力、すなわち会社の正常な利益、会社の実力ともいえます。

 

営業利益がプラス、つまり黒字であったのに、経常利益がマイナスを意味する経常損失、つまり赤字になっているケースもあります。これは、営業外費用が多額であることによって生じます。

 

利息などの支払いである営業外費用が多額であるということは、有利子負債、つまり利息を付けて返済しなければならない借入金が多いことが想定されます。

 

逆に、営業利益がマイナスを意味する営業損失なのに、経常利益がプラスになっているケースもあります。この場合、本業では上手くいかなかったものの、投資やリスク管理はしっかりできており、事業全体としてはまずまずの成績だったといえるのです。

 

近年の記録的な円安により海外への輸出を行う企業では、為替差益が多く計上されています。たとえば、為替相場が1ドル130円のときに商品10万ドルを売り上げた際の売掛金1,300万円が、1ドル140円のときに決済されると、入金された10万ドルを日本円に交換したら1,400万円になるため、100万円の為替差益(収益)が発生します。

 

一方、海外からの輸入を行う企業では、為替差損が多く計上されています。為替相場が1ドル130円のときに商品10万ドルを仕入れた際の買掛金1,300万円を、1ドル140円のときに決済したら、日本円で1,400万円必要になり、100万円の為替差損(費用)が発生します。

 

為替差益も為替差損も、営業外収益・費用となりますが為替相場の変動という会社の努力ではどうにもならない外的要因で生じるものだという点には、注意が必要です。

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

石川 和男

PHP研究所

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