「損益計算書」から会社の「収益力」と「経営危機か」を一発で見抜けるポイント【人気簿記講師(税理士)が解説】

「損益計算書」から会社の「収益力」と「経営危機か」を一発で見抜けるポイント【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は損益計算書の「経常利益」「当期純利益」の算出過程からその会社の収益力を見抜くポイントを説明します。

「当期純利益」は、1年間で稼いだ最終の利益額

経常利益に特別利益を足して特別損失を差し引くことで税引前当期純利益を求めます。

 

【税引前当期純利益の計算式】

経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益

↓(【図表1】では…)

経常利益500億円+特別利益200億円-特別損失100億円=税引前当期純利益600億円

 

さらに、税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税を差し引くことで当期純利益を求めます。⑤

 

【当期純利益の計算式】

税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税=当期純利益

↓(【図表1】では…)

税引前当期純利益600億円-法人税、住民税及び事業税200億円=当期純利益400億円

 

特別利益と特別損失は、特別というぐらいなので、滅多に生じない臨時的・偶発的な収益と費用です。特別利益は最後に利益とついていますが利益の名称ではなく収益に該当し特別損失も最後に損失とついていますが損失ではなく費用に該当します。

 

◆「特別利益」にはこのようなものが該当する!

「特別利益」には、たとえば、本来は事業活動に使っていて売却するつもりのなかった建物を本社移転のため、たまたま売却したことによって生じた建物売却益や、ほかの会社を支配するために保有していた関係会社株式を売却したことにより生じた関係会社株式売却益などが該当します。

 

1,000億円で購入した建物を1,200億円で売却したら、建物売却益は200億円(特別利益)になります(説明を簡単にするため減価償却を考慮していません)。

 

しかし、上記の建物や株式を売却して損失が出た場合には、一転して建物売却損、関係会社株式売却損になります。

 

仮に1,000億円で購入した建物を800億円で売却したなら、建物売却損は200億円(特別損失)になります。

 

もともとは、売る気のなかった建物を売るということは何かしらの理由があるはずです。

 

もちろん老朽化して新築に移転するなどプラスの原因もあります。しかし、資金不足で事業用の建物を売り、賃貸物件に移転するなどの原因なら注意が必要です。

 

関係会社株の売却も、その会社を支配するために持っていた株式なのに、売ってしまうと、その会社を支配することができなくなります。売却益(収益)が発生しているからよいのではなく、その理由を考える必要があります。

 

たとえば、営業利益が赤字の会社が最終的な利益を黒字にするために、本来売るつもりのない、売ってはいけない含み益のある関係会社株式を売却した可能性なども考えられます。

 

これらを調べるためには、後述するキャッシュ・フロー計算書が役立ちます。

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

石川 和男

PHP研究所

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