今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なものとなっています。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」について、誰にでもわかりやすく解説します。今回は、貸借対照表のポイントについてお伝えします。
純資産とは、自分で用意したお金
最後に、純資産について。純資産とは、自分で用意したお金のことです。自分で用意したお金というと個人的なイメージがありますが、自分とは株主も含みます。
個人事業者の場合、あなた個人がコツコツためた貯金や退職金を、これから作る会社にプレゼントします。
このことを会計用語で「出資する」といいます。そのプレゼントされたお金を「資本金」といいます。プレゼントなので返済する必要はありません。
さらに、企業が生み出した利益を積み立てていきます。今まで稼いだ利益の蓄積分を「利益剰余金」といいます。
たとえば、前期まで500万円の利益剰余金があり、今期300万円の利益を稼ぎ出せば、800万円(500万円+300万円)の利益剰余金になります。逆に今期300万円の損失になると200万円(500万円-300万円)になります。
利益を生み出すことで自己資本が増え、会社経営が安定します。一方、損失になると自己資本が減り、会社経営が不安定になります。
「純資産の部」は「株主資本」が中心です。本来は株主資本以外の表記もありますが、分析する上で影響が少なく、かつ難しくなるので割愛します。
以上、資産、負債、純資産の3つを具体的な内容面から解説しました。
この3人の登場人物で構成されているのが貸借対照表です。
■Point!
貸借対照表では、資産・負債・純資産の3つの「資金の流れ」に注目する。
石川 和男
合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
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合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
合格率No.1簿記講師、税理士、建設会社総務経理担当役員。
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。「偏差値30、名前を書けば全員合格」と言われた高校・大学を卒業後、建設会社に入社。経理部に配属されるが、簿記の知識はゼロ。上司に叱られ怒鳴られ、意志の弱さから毎日飲み歩き遊びまくりの生活を続け、気づいたときには30代に。そんな不安を打ち消すため、一念発起して日商簿記3級の勉強を始める。その後、日商簿記2級、宅地建物取引業主任者試験、1級建設業経理士と、難易度を上げながらなんとか合格。
建設会社退職後、税理士試験に挑戦するも2年で一度挫折。しかし、通っていた大手専門学校で講師として採用される。当時35歳という年齢での採用は異例の抜擢だったが、はじめて受け持った担当クラスが全員合格。偏差値30から教える立場になったという経歴から、理解できない気持ちが理解できる講師と評判になり人気講師に。
また、建設業経理事務士や宅地建物取引業主任者資格を持っていたため建設会社にも就職。2年間無職だった生活から、土日は専門学校の講師、平日は建設会社の総務経理を担当するまでに。最終的に、3年間休止していた税理士試験にも再度挑戦し合格。
偏差値30の全員合格の高校を卒業してから35年目の現在、税理士、建設会社で総務経理を担当しながら、簿記講師として全国各地でセミナーを開催している。
『会計の用語図鑑』(KADOKAWA)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(ともに明日香出版社)、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など著書多数。
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