「自筆証書遺言」の書き方と流れ
自筆証書遺言を作成するまでの流れは、次のとおりです。
必要書類を準備する
はじめに、必要書類を準備します。集めるべき書類は、公正証書遺言の場合とほとんど変わりません。ただし、「不動産の固定資産税課税明細書または固定資産税評価証明書」は公証役場の手数料を算定するための書類であるため、自筆証書遺言の場合には不要です。
遺言書の内容を検討する
必要書類を準備と並行して、遺言書の内容を検討します。遺言書の内容の検討は自分で行うか、弁護士などの専門家へ相談しながら行います。
下書きをする
自筆証書遺言をいきなり書き始めてしまうと、書き損じや漏れなどが生じやすくなります。そのため、いきなり清書するのではなく、先に下書きを作成するとよいでしょう。なお、弁護士などの専門家へサポートを依頼した場合には、専門家が下書きを作成してくれる場合もあります。
清書する
下書きが作成できたら、清書をします。清書をする際には、次の点にご注意ください。また、自筆証書遺言は訂正方法が厳格に定められています。そのため、もし書き損じてしまったら、新たな用紙に書き直した方が確実です。
■全文を自書する
自筆証書遺言は、本文のすべてを自書しなければなりません。ワープロや代筆では作成できませんので、注意しましょう。なお、財産目録を別紙として添付する場合には、財産目録のみは自書しなくても構いません(ただし財産目録の全頁について署名押印が必要)。
■氏名を自書する
自筆証書遺言は、氏名を自書することが要件の1つとされています。氏名は、フルネームでしっかりと記載しましょう。なお、氏名は普段から使用しているペンネームでも構わないとされていますが、無用なトラブルを避けるためには、戸籍どおりの氏名を記載することをおすすめします。
■日付を記載する
自筆証書遺言の要件の1つとして、日付の自書が必要です。日付は、何年何月何日であるのかが特定できるよう、明記してください。「令和5年1月吉日」などでは日付が特定できないため、適切ではありません。一方、「令和5年の誕生日」などは日付が特定できるため、無効ではないとされています。ただし、無用なトラブルを避けるためには、「令和5年1月1日」など年月日を記載した方がよいでしょう。
押印をする
自筆証書遺言が書けたら、遺言書に押印をします。押印がなければ無効となりますので、忘れずに押印をしてください。なお、自筆証書遺言の押す印は、実印に限定されているわけではありません。ただし、遺言者本人が作成したものであることを証するため、可能な限り実印を押した方がよいでしょう。