(※写真はイメージです/PIXTA)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社が、2023年4月のマーケットについて振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。※本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

8.まとめ

【債券】

米国の長期金利は、振れを伴いながら緩やかに低下する展開を予想します。底堅い雇用や粘着質のインフレが続くものの、金融不安の高まりで金融環境が引き締まることから、FRBの利上げ停止が視野に入ってきたとみられます。先行きはインフレの鈍化と景気減速が見込まれ、緩やかに低下する展開を予想します。欧州の長期金利も、賃上げによるインフレ圧力などからECBが金融引き締めを続けるものの、米長期金利に連れて緩やかに低下する展開を予想します。日本の長期金利は、日銀の政策修正により長期金利の許容変動幅が拡大され、先行きやや上昇する展開を予想しています。

 

【株式】

S&P500種指数採用企業の23年1-3月期の増益率(純利益ベース)は前年同期比▲1.9%、除くエネルギーセクターで同▲3.5%の見通しです(4月28日。リフィニティブ集計)。一方、TOPIX採用企業の23年1-3月期の純利益は前年同期比+78.9%、22年度(22年4月~23年3月)は前年度比+18.0%の見通しです(5月2日。3月期決算企業で除く金融、QUICK集計)。

 

米国では23年1-3月期のGDP成長率(速報値)が前期比年率+1.1%(10-12月同+2.6%)と減速しました。5月会合での0.25%の利上げは市場のコンセンサスですが、景気の減速を受けて6月会合での追加利上げの可能性は低下しつつあるようです。極端な景気悪化とはならずに利上げが打ち止めとなれば、米株には追い風となる可能性があります。一方、日本では、自社株買い発表の増加が好感されると思われることに加え、東証の要請を踏まえた企業価値向上のための活動計画が広く示されると思われます。PBR1倍割れ企業はTOPIX採用ベースで51%に達しており、今後の株価水準の修正が期待されます。

 

【為替】

円の対米ドルレートは、FRBの利上げが最終段階に入りつつあるとみられることから、もみあいながら緩やかに上昇する展開を予想します。先行きは米国の景気とインフレが鈍化するため、FRBの利上げ停止と日銀の金融政策修正が意識され、円が小幅に上昇する展開を予想しています。円の対ユーロレートは、概ねレンジ内でもみ合いながら、緩やかに上昇すると予想します。ECBのタカ派姿勢がユーロのサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が円の買い材料となるとみています。また、円の対豪ドルレートは、もみ合う展開を予想しています。相対的に堅調な豪州景気がサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が意識されるためです。

 

【リート】

米国リート市場は、FRBの利上げ打ち止め観測と、先行きの景気後退や商業用不動産に対する融資厳格化が意識され、当面不安定な動きになることが見込まれます。ただし、米国経済はリセッションに陥るとしても、比較的軽微なものにとどまるとみられ、過度な景気後退懸念が和らげば、米国リート市場は緩やかに上昇するとみています。欧州リート市場は、ECBによる金融引き締めの継続から当面上値の重い展開を想定します。ただし、先行きは財政支出の拡大やインフレのピークアウトにより景気回復とともに持ち直すとみています。日本リート市場は、景気回復の動きが続くものの、日銀の金融政策の不透明感から当面レンジ内でもみ合うとみています。アジア・オセアニアリート市場は、景気回復に伴いシンガポール中心に緩やかに上昇するとみています。

 

 

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2023年4月のマーケットの振り返り【マーケットのプロが解説】』を参照)。

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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