6.為替
<現状>
4月の円相場は主要通貨に対し下落しました。円は米ドルに対し、米長期金利の低下に伴い、月初に1ドル=131円台まで上昇しました。しかし、その後米長期金利が反発したことや、植田日銀新総裁が就任後初の記者会見で、現行の緩和策を当面維持する方針を示したことから、円はじりじりと下落しました。月末には日銀が大規模緩和策を維持したことを受けて、日米の金融政策の方向性の違いが意識され、136円台に下落しました。円の対ユーロレートは大きく下落しました。ECB高官から金融引き締めに積極的なタカ派発言が相次ぎ、日欧の金融政策の方向性の違いから円売り・ユーロ買いが膨らみ、約14年半ぶりに1ユーロ=150円を付けて終了しました。また、円は、利上げ観測が後退した豪ドルに対しても小幅に下落しました。
<見通し>
円の対米ドルレートは、FRBの利上げが最終段階に入りつつあるとみられることから、もみあいながら緩やかに上昇する展開を予想します。先行きは米国の景気とインフレが鈍化するため、FRBの利上げ停止と日銀の金融政策修正が意識され、円が小幅に上昇する展開を予想しています。円の対ユーロレートは、概ねレンジ内でもみ合いながら、緩やかに上昇すると予想します。ECBのタカ派姿勢がユーロのサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が円の買い材料となるとみています。また、円の対豪ドルレートは、もみ合う展開を予想しています。相対的に堅調な豪州景気がサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が意識されるためです。
7.リート
<現状>
グローバルリート市場(米ドルベース)は、欧米の株式市場が上昇するなか、小幅に反発しました。米国リート市場は、金融不安による信用収縮が商業用不動産に与える影響が引き続き懸念されたものの、FRBの利上げ停止観測の高まりで米長期金利が低下したことや株式市場が上昇したことが支えとなり、小幅に上昇しました。欧州、日本、アジアのリート市場も堅調な株式市場に支えられ、上昇しました。S&Pグローバルリート指数(米ドルベース)のリターンは前月末比+1.3%となりました。また、為替効果がプラスに寄与し、円ベースのリターンは同+3.6%となりました。
<見通し>
米国リート市場は、FRBの利上げ打ち止め観測と、先行きの景気後退や商業用不動産に対する融資厳格化が意識され、当面不安定な動きになることが見込まれます。ただし、米国経済はリセッションに陥るとしても、比較的軽微なものにとどまるとみられ、過度な景気後退懸念が和らげば、米国リート市場は緩やかに上昇するとみています。欧州リート市場は、ECBによる金融引き締めの継続から当面上値の重い展開を想定します。ただし、先行きは財政支出の拡大やインフレのピークアウトにより景気回復とともに持ち直すとみています。日本リート市場は、景気回復の動きが続くものの、日銀の金融政策の不透明感から当面レンジ内でもみ合うとみています。アジア・オセアニアリート市場は、景気回復に伴いシンガポール中心に緩やかに上昇するとみています。