LTVを高めるには?
では、LTVを高めていくためにはどうすればいいかというと、先ほどの計算式の平均取引単価、粗利率、平均購入頻度、平均取引期間、それぞれの要素を高めていけばいいわけです。
粗利率に関していうと、仕入れ先の見直しや価格交渉、経費削減などが挙げられます。情報サービスの場合は、サービス運用のためのコストも原価に含まれるため、業務効率化も検討する必要があります。
ただし、現在のように原料コストや製造コストが上昇しているなかでこれらを行うことは難しい会社がほとんどではないかと思われます。ですから、以下の3つの方法でLTV向上に取り組むことになります。
LTV向上施策① 取引単価を向上させる
そこで、まず平均取引単価を上げる施策を考えていきます。簡単にいうと、価値の高い商品、つまり、より価格が高い商品をお客様に購入していただくということになります。
■顧客からみたときに価値が高い商品に変化させる
ただし、単純に商品単価をアップするだけでは、顧客離れのリスクにつながる恐れもあります。特に商品やサービスのアピールポイントが、価格面にしかない場合は注意が必要です。価格に頼らない商品づくりによって唯一無二の価値をお客様に提供し、常にそれを伝えて理解していただけるような取り組みをしていかなくてはいけません。
■「アップセル」、「クロスセル」施策を打つ
ほかにも、1つの商品を買ってくれたお客様に対して、別の商品も一緒に買ってもらうというやり方もあります。より高額の商品やサービスへの移行を促すことを「アップセル」といい、関連する商品やサービスの購入、セット商品の購入を促すことを「クロスセル」といいます。このような施策を打つことで1回当たりの取引単価を高めていく方法も考えられます。
LTV向上施策② 購買頻度を向上させる
次に、お客様とより頻繁に付き合う仕組みを作っていくことによって、平均購入頻度を高めることができます。
■コミュニケーション頻度を上げる
たとえば、新規のお客様に対して、メールマガジンやダイレクトメールによって継続的にフォローし、接触頻度を増やすことによって購入頻度を増やすということが考えられます。なぜお客様が継続的に来店されない、あるいは購入していただけないのかというと、それは単純に皆さんの会社の存在を忘れているからという部分もあるからです。
いわゆる休眠顧客に対して、新しいキャンペーンや商品をアナウンスするだけでも、皆さんのことを思い出してくれて、リピートしてくれるキッカケになる可能性があるわけです。 企業と顧客とのコミュニケーションには3種類存在します。
取引を行うために不可欠なもので、請求書、明細書、住所変更などの各種手続きなどが挙げられます。この種のコミュニケーションは、顧客もその重要性を認識しています。
2.サービス型コミュニケーション
たとえば、会報、案内、よりよい製品を開発するための情報を集めるアンケートなどがあげられる。サービス型のコミュニケーションも、ある程度の重要性を認識されています。
3.売り込み型コミュニケーション
代表例はダイレクトメールです。どれほど優れたコミュニケーションであっても、売込みを目的としたコミュニケーションはこの分野に含まれます。顧客はこの種の情報には懐疑的な気持ちで接します。
ただし、製品カタログについては例外的な結果が得られており、目的が売り込みであるにもかかわらず、顧客からはサービス型のコミュニケーションとして認識されています。
コミュニケーションが事務手続き型、サービス型であると認識されれば、多少の売り込みのメッセージが含まれているとしても、顧客の利益のためだと認識され、より有効なコミュニケーションとなります。
■購入頻度を提案する
もう1つは、そもそもどれくらいの購入頻度、来店頻度にすればいいのかを皆さんの側から提案するという方法です。これはたとえば、美容室や接骨院、整骨院、あるいは歯科医などに代表される専門サービス業の場合に有効なやり方です。
こういったビジネスの場合、基本的にはそのサービスに対する知識はお客様よりも皆さんのほうが持っているわけです。そうすると、どれくらいの来店頻度であれば美しい状態が保たれるか(美容院など)、身体のコンディションが保たれるか(接骨院など)というのは、サービスを提供する側が把握しているはずなのです。
ところが、ほとんどの場合、来店頻度をお客様任せにしてしまっているわけです。そうではなく、専門知識を持っている側からお客様に来店頻度をアドバイスしてあげるべきなのです。
購入頻度や来店頻度をこちら側から提案することに対して、抵抗感を持たれる経営者の方も多くいらっしゃいます。そのために来店頻度をお客様任せにしてるパターンが多くなるのですが、実は、来店頻度をこちら側から提案することには、お客様にとってもメリットがあるわけです。
たとえば治療院などでは、本来は2週間に1回来院しないと改善しないような痛みなのにもかかわらず、こちら側が来院頻度を提案しないためにそれが2ヵ月に1回ということになると、本当は治るはずのものが治らないといったことが起こるわけです。これはお客様にとっても、皆さんにとっても不幸な結果になります。
ですから、購入頻度や来店頻度を提案するということは、決して無理な売り込みではないわけです。このように、顧客とより頻繁に付き合う仕組みとして、コミュニケーションの頻度を上げるということ、購入頻度や来店頻度をこちらから提案するという方法が考えられますので、ぜひ取り入れてみてください。
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