ドラッカーよりも前にマネジメントの基礎を築いた…タイラーの”生産性3.7倍アップ”を実現する「科学的管理法」とは?

ドラッカーよりも前にマネジメントの基礎を築いた…タイラーの”生産性3.7倍アップ”を実現する「科学的管理法」とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

いまからおよそ百数十年前……マネジメントの父として有名なドラッカーよりも前に、マネジメントの基礎となる「科学的管理法」を生み出したフレデリック・テイラーという人物がいます。彼は自らがコンサルティングする工場で、従業員1人当たりの生産性を3.7倍にも上げたのです。どのような方法でマネジメントしたのでしょうか。本記事では、フレデリック・テイラーの「科学的管理法」について解説します。

マネジメントの原点「科学的管理法」とは?

会社の社長であればマネジメントをどうやってやっていくかということに必ずといっていいほど悩むと思います。会社員時代に部下を持ち、マネジメント経験を経て独立する人もいると思います。

 

一方で多くの社長、特に20代くらいで起業した社長というのは部下を持つ・人をマネジメントするという経験がないまま独立して、気づいたら社員が増えてきてマネジメントしないといけない立場になってる人も多いかと思います。

 

そうなると、どうやって組織をマネジメントしていくかということに悩むことになります。ですので研修に行ったり勉強して学んでいくのですが、組織のマネジメントに関しては大体100年くらいの過去の人たちの積み上げがありますので、それをまず学ぶことによって、マネジメントの原理原則が学べるということです。

 

なので今日はマネジメントの原点、テイラーの「科学的管理法」の解説をします。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

管理法の生みの親、フレデリック・テイラーとは?

テイラーの正式名は「フレデリック・テイラー」になります。いま申し上げた科学的管理法というものを生み出して有名になった人です。

 

マネジメントというと、ドラッカーなどが有名ですが、ドラッカーよりもはるか昔にマネジメントを科学するということをやり、体系化した人です。ドラッカーの本にもテイラーの話が出てきたりしますね。

 

この人は百数十年前の人物ですが、このころからマネジメントに悩む会社というのはたくさんあって、テイラーはそういった会社に対してコンサルティングの仕事をしていました。

 

科学的管理法という名前自体は聞いたことのある人も多いと思うのですが、具体的になにを意味するかを知っている方は少ないと思いますので、今日はその話をしていきたいと思います。

 

科学的管理法が生まれた背景

テイラーは自分が生み出した科学的管理法を使って、いろんな工場をコンサルティングする仕事をしていました。そんななか、とある工場で、生産性が1人当たり3.7倍に増えました。どうやってやったかは後程ご紹介しますが、その前になぜ彼がこの方法を体系化しようと思ったか、という話をしようと思います。

 

あるとき、銑鉄を運ぶ作業場があり、彼はそこの作業効率をいかに上げるかという仕事に取組み始めました。当時の作業場はチームがありリーダーがいて、そのリーダーのやり方でやるという、非常に属人的なやり方で鉄を運ぶ作業をしていました。

 

なのでチームによって成果もバラバラだし、人によって作業効率もバラバラなので、なかなか成果が安定しない、生産性が安定しない。という状況でした。

 

当然ながら作業員を雇っている雇い主たちはもっと作業員に働いてもらって成果を上げたいと思っていたのですが、一方作業員の人たちは頑張って働いても給料が上がらないということであまり一生懸命働くということはしていませんでした。

 

要するに怠惰な姿勢を取っていました。そこで雇う側と作業員のあいだで対立が起こっていました。いわゆる、労使対立です。雇う側と作業側の対立が起こっていました。それをなんとか解決しながら、且つ作業効率を上げようということでテイラーが考えたのが、「鉄を運ぶ作業を標準化して作業効率を上げていこう」ということです。

 

生産性1人当たり「3.7倍」を実現した方法

作業員のなかにシュミットという人がいて、彼は元気がよく、いつも家から作業場まで1マイルくらいを走って通っていました。そして昼間は作業をして、帰りはまた走って帰って……ということで非常に体力のある作業員でした。

 

そこでテイラーはその人をモデルにして作業効率を上げる方法を考え出そうと、シュミットに自分たちが考えたやり方で作業をやらせることにしました。そうすると、いままでより鉄を運ぶ量が増えて、作業効率が上がったという結果が出ました。

 

そして、「自分たちがシュミットにやらせた方法でほかの作業員にやらせれば、全体の生産性が高まるのではないか」ということになり、作業のやり方や道具の使い方、時間の使い方をすべて決めて、そのやり方で工場、作業場を変革していきました。その結果、生産性が3.7倍に上がったという話です。

 

[図表1]テイラーが入る前後の生産性

 

こちらが実際のデータなのですが、テイラーが入る前は作業場に労働者が400~600人いて、1人当たり、16トンくらい鉄を運べる計算でした。1人当たりの平均賃金は1.15ドル。もちろん物価が安い時代なのでこの金額です。

 

一方、テイラーが考え出した方法でやったところ、労働者数が圧倒的に少ない、140人でできることがわかりました。そして1人当たりの鉄を運ぶ量は59トン。16トンから比べると大体3.7倍の量です。そして賃金も1.88ドルになり、雇う側も働く側も非常に特をしたという結果となりました。

 

そこでこのやり方をテイラーは体形化して、ほかの工場にもこの方法を広め、生産性向上に寄与していきました。

 

現代マネジメントの基礎となった「科学的管理法の原則」

そして鉄の作業場で実験した結果をもとに体形化したものが「科学的管理法」です。これは100年くらい前に生み出されたものなのですが、未だに大体の会社ではこのような手法が取り入れられていると思います。

 

もちろんこの方法だけではなくそこから進化して、テイラーの管理法への批判などもあったりして、100年が経ち別のやり方も出ているのですが、ベースはこの科学的管理法といえると思います。なので、マネジメントをよりうまくやりたいという社長はぜひいまからお話する内容を知っておいた方がいいと思いますのでご紹介していきたいと思います。

 

《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら

次ページ科学的管理法の5つのポイントを紐解く…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧