「複業」というベターな姿勢
◆原則3|選択肢を多く持ち「複業」をする
3つ目の原則は、『選択肢を多く持とう』ということです。「ひとすじでがんばるぞ」と気合いを入れるのも大事なことですが、老年になってからの大きな失敗は取り返しがつきません。
いつでも方向転換(“ピボット”と言います)できるよう、いろいろなことに少しずつ手をつける「複業」という姿勢がベターです。
世の中には、いろいろな情報があふれていますが、実際は、「やってみないとわからない」ことばかりです。できることから手をつけていき、「ちょっと成果が出たな」というものを深掘りしたいものです。
それは、自分のフットワークを軽くすることにもつながります。長く同じ会社で働いてきた人ほど、新しいことに慎重(臆病)です。月日が過ぎていってしまうと、だんだん気力と体力が衰えてきます。
「複業」を始めた会社員からは、「自分の選択肢が広がった」と感じ、気持ちが豊かになり落ち着くと聞きます。
自力で、毎月10万円稼ぐというのは簡単なことではありません。今まで会社で大きなお金を動かしてきた人、もらってきた給与に比べたら小さな金額に思えるでしょう。
しかし、「組織に属してもらうお金」と「自力で稼ぐお金」はぜんぜん違います。やってみると、そのむずかしさもわかります。複数の仕事を組み合わせ、「年金プラス10万円」を目指すのが現実的です。
将来の「滑走路」を作ろう
◆会社にいるうちに「滑走路」を整備しよう
長く会社や組織に貢献をしてきたことは、とても評価されるべきことです。
しかし、あまりにも会社のやり方に慣れすぎて、「会社の外」に出た時に、どうしていいか戸惑ってしまう人が多いのも現実です。定年後も働きたいと思っても、会社から命じられないと何も考えられない自分がいて、がく然とするかもしれません。
そして、その時は体力もかなり落ちてきていて、新しいことを学んだり受け入れたりするのが困難になってしまい、無為に日々を送ることになってしまいがちです。
そこで必要なのは、定年後から何かを始めるのではなくて、会社にいる間に、「滑走路」を作ることです。滑走路がなくては飛び立つことはできません。会社にいて、生活費はきちんと毎月25日に振り込まれる間に、副業でトレーニングを始めましょう。
副業が会社から認められない方は、ボランティアや社会的活動でもいいでしょう。とにかく、会社組織以外の「サードプレイス(第3の場所)」を見つけ、そこで新しい経験をしていくことが必要です。
できたらボランティアではなくて、適正な報酬を得る副業が望ましいです。会社組織以外の場所でお金を稼ぐ経験は、滑走路を作るためにはとても大事だからです。
会社ではなくて、「個人」として行った仕事が評価されてお金をやり取りする経験こそが、大切なトレーニングです。