(※写真はイメージです/PIXTA)

山本翼氏の著書『電車で学ぶ英会話』より一部を抜粋・再編集し、成果を出すための英語学習についてみていきます。

語学は赤ちゃんに学べ!ネイティブの語学脳を考察する

初めは聞く・話すのオーラル面からアプローチをしていきます。リスニングで相手が何を言っているのか聞き取れずに悔しい思いをしたことってありませんか? 私もその思いを持った一人でした。

 

特に日本人のリスニングのウィークポイントとして、lとrの聞き分けが指摘されます。でもネイティブの人は難なく聞き分けができていますよね?

 

実際、英語が聞き取れるようになるまでに最低1000時間以上必要で、これには医学・生理学的な裏づけがあります。

 

そこで学習のヒントを探るために、赤ちゃんが言葉を学んでいくプロセスについて考えていきましょう。なぜ日本人には英語の聞き分けが難しいのかという理由ですが、アメリカの発達心理学者Patricia Kuhlが乳児に実験を行ってこれを解明しました。

 

Kuhlによれば、英語と日本語の聞き取りの違いは、生後9ヵ月くらいから出てくるそうです。

 

生まれたての赤ちゃんは、1年ほどかけて言葉を覚えていきます。最初に、生後1ヵ月くらいでクーイング(「あ〜」、「う〜」など)という言葉のもとになるものを発し始めます。

 

それから3〜6ヵ月頃に喃語(なんご)(「あう」、「ばぶ」など)に移行し、周りの人の発音を真似することを経て、およそ1年前後で「パパ」、「ママ」などの単語の発語に辿りついていきます。

 

一番身近な親という手本から赤ちゃんは言葉を学んでいるんですよね。これは一般的に知られている赤ちゃんの言語習得モデルです。

 

ところがKuhlの研究では、赤ちゃんは実は、聞いた言葉の音を統計的に処理して学習すると述べています。

 

具体的に説明すると、赤ちゃんは生後、言葉を話すために親や周りの人などから音声データをいっぱい取り込む必要があります。そのために言葉を聞き取って音声に関するデータを脳に貯め込んでいるわけです。そして、貯め込んだデータから音声を聞き分けるために必要な音を探っているのです。

 

このプロセスは生後約8ヵ月頃まで続くので、日本人の赤ちゃんもLとRの聞き分けは実はできるのです。しかし、生後9ヵ月頃から赤ちゃんは必要のない音声を区別するのをやめていきます。

 

その区別するのをやめる音声が日本語のlとrの音の違いです。この違いは、英語のlとrの音の違いよりも差が小さいので、赤ちゃんは「そんなに大事やないさかい、区別しなくてもええっかあ。」となり聞き分ける必要がないと判断します。

次ページでは、どうやってリスニングスキルを鍛えるか?

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『電車で学ぶ英会話』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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