(※写真はイメージです/PIXTA)

アパートをはじめ、不動産の売買をする際に必ずお世話になるのが「司法書士」ですが、そもそもなぜ司法書士が必要なのでしょうか。今回は、司法書士の役割や依頼時の費用相場とともに、司法書士なしで不動産の売買取引をするリスクについて司法書士の近藤崇氏が解説します。

「司法書士なし」で取引すると考えられる“最悪の事態”

実例は多くないと思いますが、仮に価格が数百万程度の不動産の場合、また隣地同士や親類同士の不動産取引の場合、司法書士が関与せずに当事者のみで不動産売買の取引をするケースもあるかもしれません。

 

しかし、こうしたケースで考えられるのは、もし売主側が提出した登記書類に不足があった場合、買主側が「売買代金を払ったにもかかわらず不動産登記名義が入らない」という最悪の事態です。

 

身内同士の贈与などならともかく、仮に少額でも売買として対価を支払う場合、買主としては司法書士に依頼したほうが安心・安全でしょう。

 

また、実際の不動産取引は数千万~数億円規模のものも多いため、単純に現金を支払うだけのケースはごくわずかです。数千万円のものを現金一括で購入できる人はそう多くないでしょうから、実際には買主が銀行などの金融機関から融資を受けることが大半です。

 

金融機関はこの際、買主に融資をする代わりに、その不動産に「抵当権」の設定を求めます。この抵当権の設定に、司法書士が必要なのです。前述の見積額が「高額だ」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、この抵当権の設定登記費用および登録免許税の費用も見積に含まれています。

 

なお、金融機関によって、指定した司法書士を使うよう強く求めるところもありますし、買主側が自由に決めていいところもあります。ひと昔前は、各金融機関で司法書士を指定するケースが多かったですが、昨今は依頼者が自由に司法書士を選べる金融機関が増えてきたようです。いずれにしても、売主・買主、さらに第三者である金融機関も関わる場合、不動産売買・登記の専門家である司法書士の関与は必須でしょう。

 

以上の理由から、不動産取引において、司法書士はどうしても欠かせない存在となっているのです。

まとめ…司法書士は大金が動く不動産取引の「門番」

ここまでみてきたように、司法書士は不動産取引の現場において、各当事者の「保険」のような役割を果たしているといえます。

 

売主側の必要な書類は揃っているか、また残債ローンなどの抵当権が残っている場合、確実にその抵当権が消えるのかどうか。買主側が売買代金を支払っても、確実に登記名義が入るかどうか。金融機関が多額の融資を行い、万が一のための抵当権が確実に登記されるのかどうか。

 

これらの利害を判断し、不動産売買の決済においてGOサインを出すのが、司法書士の役割です。司法書士としても、自分の判断で数億のお金が動くこともありますから、何年やっても緊張する責任重大な仕事です。

 

まれにですが、売主に成りすまして不動産売買代金を詐取する、いわゆる「地面師」による不動産詐欺事件も発生しています。6年前の数十億円規模の「地面師」事件は大きく報道されましたが、少額の不動産取引での詐欺は、ニュースになっていないだけで起きていても不思議ではありません。

 

司法書士の立会いなしで取引をすれば、このような詐欺にあうリスクも高まります。普段から不動産投資を行い、不動産購入を積極的にされている方でしたら、気軽に相談できる司法書士を身近に確保しておくのもいいのではないでしょうか。

 

 

司法書士法人近藤事務所

司法書士

近藤 崇

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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