(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書は、自分の死後における財産の行き先などを決めておくための非常に重要な文書です。では、遺言書はどのように作成すればよいのでしょうか? 本記事では、遺言書の基本を、例文とともに書き方や書く際の注意点について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

遺言書の3つの方式、それぞれの書き方は?

遺言書の種類には、普通の方式と特別の方式の2種類があります。今回は、普通の方式の遺言書として、次の3つを説明します。なお、特別の方式は非常に珍しいケースですので説明は割愛します。それぞれの書き方(作成方法)は、次のとおりです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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1.自筆証書遺言

自筆証書遺言(968条)とは、遺言者が自書するタイプの遺言書です。自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑さえあれば作成できます。使用する筆記具に法律上の制限はありませんが、鉛筆では書き換えられてしまうリスクが高いため、ボールペンや万年筆など書き換えが難しい筆記具を作成すべきでしょう。

 

自筆証書遺言の書き方のルールは、次のとおりです。

 

・遺言者が全文を自書すること:本文はすべて自書する必要があります。財産目録を別紙として添付することもでき、その場合財産目録についてはワープロ打ちなどでも構いませんが、ワープロ打ちした財産目録にも署名と捺印をすることが必要になります。

 

・遺言者が日付を自書すること:「吉日」はNGです。年月日まで特定できるように記載します。

 

・遺言者が氏名を自書すること:戸籍上の氏名を自書しましょう。

 

・遺言者が印を押すこと:印の種類に制限はありませんが、実印が望ましいでしょう。

 

これらのルールから1つでも外れてしまうと無効となってしまうため、注意して遺言書を作成しましょう。

 

なお、令和2年(2020年)7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が始まっています。制度を利用することで紛失や偽造などのリスクがなくなり、遺言書の検認も不要となりますので、自筆証書遺言で遺言をする場合には保管制度の利用も検討するとよいでしょう。

 

2.公正証書遺言

公正証書遺言(民法969条)とは、公証人の関与のもとで作成する遺言書です。公正証書遺言の書き方の流れは、次のとおりです。

 

1. 遺言書の内容を検討する:自分で検討するか、弁護士などの専門家とともに検討します。

 

2. 公証役場に事前相談へ出向く:公証役場はどこでも構いませんが、自宅などから近い公証役場で相談することが一般的です。

 

3. 公証役場で文案を作成してもらう:希望の遺言内容に従って、公証役場に文案を作成してもらいます。

 

4. 予約する:遺言書作成日の予約をします。なお、入院中などでどうしても公証役場に出向くことができない場合には、公証人に病院などに出張に来ていただくことも可能な場合があります。

 

5. 証人を手配する:公正証書遺言の作成には、証人2名が必要です。相続人になる予定の人や遺言書で財産を渡す相手などは証人になれません。もし、適切な人が周りにいない場合、有料にはなりますが、公証役場に手配を依頼することも可能です。

 

6. 予約日時に公証役場へ出向く:公証人と2名の証人の面前であらためて遺言内容を口授し、公証人作成の文案を確認します。問題がなければ遺言者と2名の証人が遺言書に署名捺印をして遺言書が完成します。

 

公証役場とのやり取りなどに手間はかかりますが、もっとも確実で安心な遺言方法であるといえるでしょう。

 

3.秘密証書遺言

秘密証書遺言(民法970条)とは、遺言内容を誰にも知られることなく、公証役場で保管をしてもらうタイプの遺言です。秘密証書遺言の書き方(作成方法)の要件は、次のとおりです。

 

・遺言者が証書に署名して印を押すこと:自筆証書遺言とは異なり、本文は自書でなくても構いません。

 

・遺言者がその証書を封じて封印すること:証書に使用したのと同じ印で封印します。

 

・遺言者が、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨と自分の氏名住所を申述すること:すでに封印した状態で公証役場に提出するため、公証人と証人は遺言書の内容を確認しません。

 

・公証人が、その証書を提出した日付と遺言者の申述を封紙に記載したあと、遺言者と証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

 

なお、秘密証書遺言はほとんど利用されておらず、年の作成件数は100件程度といわれています。遺言書の内容は、本人以外には誰にも確認がされないため、無効になる可能性がある点は、大きなデメリットと考えられます。

 

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