(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書では、複数の相続人がいても、すべての財産を1人に相続させることができます。では、そうした場合、どのように遺言書を作成すればよいのでしょうか? 本記事では、1人に全財産を相続させる際の遺言書の書き方をポイントや注意点とともに、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

遺言書で1人に全財産を相続させる主な理由

遺言書ですべての遺産を1人に単独相続させることには、どのような理由があるのでしょうか? 考えられる主な理由は、次のとおりです。

 

1.事業承継のため

遺産を1人に単独相続させたいと考えるよくある理由の1つ目は、事業承継です。事業承継を円滑に行うためには、事業用資産や自社株式を特定の相続人に集中させる必要があります。

 

また、事業に関連する以外の資産がある程度あれば、ほかの相続人にも一部の資産を遺す余地はあるものの、そのほかの資産がほとんどないという場合には、後継者に遺産を集中せざるを得ないでしょう。

 

2.ほかの相続人にはすでに十分な金銭援助をしたため

一部の相続人に十分な資金援助をしてきたことを理由に、ほかの相続人に遺産を単独相続させたいと考える場合もあります。たとえば、相続人である子が長男と二男の2人いる場合において、二男のみが海外留学をしたり、二男が家を建てる際の費用を贈与したりした場合などです。

 

3.ほかの相続人と疎遠のため

ほかの相続人と疎遠であったり、折り合いが悪かったりすることを理由に、遺言書で1人に全財産を相続させたいと考える場合もあります。たとえば、長女一家が近くに住みなにかと世話をしてくれる一方で、二女はほとんど家に寄りつかないような場合です。

 

4.家督相続的な考えを持っているため

昭和22年に民法が改正される以前は、家を継ぐ長男などが遺産を単独相続する「家督相続」が原則とされていました。現在の民法では、「家を継ぐ」という法的概念自体が存在せず、長男であるか二女であるかといったことなどで、相続権に違いはありません。

 

しかし、比較的伝統を重んじる家などでは、未だに家督相続的な考えを持つケースがあります。そのため、たとえば「家を継ぐ長男に全財産を相続させたい」との考えから、1人に遺産を集中させる内容の遺言書を作成する場合があります。

 

5.相続税の負担が小さくなるから

相続税には、さまざまな特例が存在します。この特例を最大限活用するために、1人の相続人に遺産を単独相続させる場合があります。 たとえば、「配偶者の税額軽減」を活用すれば、配偶者が受け取った遺産のうち1億6,000万円か配偶者の法定相続分のいずれか大きい額までは、相続税がかかりません。

 

つまり、そもそも遺産総額が1億6,000万円以下なのであれば、配偶者がすべて相続することで相続税をゼロにすることが可能です。この特例を最大限活用するため、配偶者に全財産を相続させる内容の遺言書を作成することが考えられます。

 

なお、この場合にはその後配偶者が亡くなった際にかかる相続税も試算し、トータルでかかる相続税を踏まえて遺産の配分を検討する必要があるでしょう。

 

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