京都で明治8年に創業した「開化堂」という「手づくりの茶筒」を製造販売する老舗企業があります。現在まで約150年間、激しい時代の変化に見舞われながらも、長くゆっくりと繁栄を続け、海外進出も果たしています。本記事では、開化堂の六代目当主である八木隆裕氏が、著書『共感と商い』(祥伝社)から、職人をはじめとする働く人たちとの接し方において心掛けていることを解説します。

企業が「職員の家族」のことを想像すべきワケ

もちろん、オンラインだけでなく、職場で親の働く姿を見せられれば、もっと勉強になるし、会社がどんなところかを知るのも学びになるでしょう。

 

そして働いている人たちの家族関係がよくなり、家族や子どもから仕事を理解されるようになるのは、企業にとっても大きなプラスになるわけです。だから仕事の場を、どんどん見せたほうがいい。

 

僕自身、子どもの頃に工房をウロウロしていたように、今は自分の子どもを工房に連れていきます。すると、気づけば学校帰りに職場にくるようになって、僕の親父である五代目と遊んだりしている。

 

無論、工房なので安全が大前提にはなりますが、必要であれば働いてくれる人たちのお子さんが工房にくることを僕は気にしませんし、実際、そうしたお子さんがきたときには、「アルバイト〜」と言って、簡単な作業に参加してもらうこともあります。

 

また、僕が2016年に始めた「Kaikado Café」では、「職人さんにゆっくりしてほしいです。そして、もしよかったらみんなの家族を連れてきていいよ」と、毎年みんなにドリンクチケットとフードチケットを渡したりもしています。

 

小さい工房だからできることかもしれませんが、世の中の企業がもっと「働いてくれる人たちの家族」のことを、具体的に想像するようになると面白くなるし、その企業がいろいろな意味で愛される、長く続く存在になっていきます。

 

働く人にとっても、子どもに自分の仕事姿を見せるのは、よい家族関係が続く源になる気がするのですが、みなさんいかがでしょうか?

 

 

八木 隆裕

開化堂

六代目当主

 

共感と商い

共感と商い

八木 隆裕

祥伝社

手づくり茶筒の老舗「開化堂」 創業明治8年、つくるモノは当時のままの茶筒。 ……にもかかわらず、 ●なぜ、令和の現在でもうまく続いているのか? ●ティーバッグやペットボトルの普及で茶筒がないお宅も多い中、…

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