お勧めリノベ④夏の暑さ対策にも有効な「天井断熱」
住宅の上部の断熱方法には、天井断熱と屋根断熱があります。これらの断熱は、冬の寒さ対策にも有効ですが、それ以上に夏の暑さ対策に有効です。
新築の場合は、このどちらでもいいかと思いますが、既存住宅の断熱リノベの場合は、天井断熱の方が手軽です。天井の上側に断熱材を敷設もしくは吹き込むことで断熱性能を確保します。
その際に注意したい点が2つあります。1つ目は「小屋裏換気」の確保です。屋根と天井の間の空間を小屋裏と言います。天井断熱を行うと、夏期には屋根が熱くなるため、小屋裏空間も60~70℃くらいまで温度が上がると言われています。この空気を換気しないと、湿気をたっぷり含んだ空気が夜に冷やされ、結露が生じる可能性があります。小屋裏の結露は、木材の腐食等を引き起こし、家の耐震性能や耐久性能に悪影響を及ぼします。そのことに留意して、リフォーム会社と小屋裏の換気方法について相談することをお勧めします。
もう一点は、前述の「気流止め」です。「気流止め」は図表5で示したように、床側だけでなく、天井側も施工することが望ましいです。天井断熱を行うのならば、その際に併せて天井側の「気流止め」行うべきでしょう。
お勧めリノベ(おまけ)… ホウ酸による防蟻処理
最後に、冬の寒さ・夏の暑さ対策ではありませんが、ホウ酸によるシロアリ対策を行うことをお勧めしたいと思います。我が国で一般的なシロアリ対策(防蟻)は、合成殺虫剤によるもので、5年程度しか防蟻効果が持続せず、健康にもリスクがあることを以前ご説明しました(関連記事:『恐ろしい…EUの禁止農薬が使われる「日本のシロアリ対策」驚愕の実態』)。
さらに、現在の建築基準法では地盤面から1mの高さまでの防蟻しか求めていませんが、近年、2階の柱や小屋組(屋根を支える構造材)自体に営巣する外来種のアメリカカンザイシロアリの被害が急増しているので、その対策が必要であることもご説明したとおりです。(関連記事:『外来シロアリに食い潰される!「日本の木造の家」全滅の危機』)
ただ、既存住宅でアメリカカンザイシロアリ対策をきちんと行おうとすると、いったん構造材を裸にするスケルトンリノベを行う必要があります。そこまではできないという方がほとんどではないかと思います。
そこで、抜本的な対策ではないもののある程度の予防効果のある防蟻方法として、床下と小屋裏にホウ酸をダスティング処理することをお勧めしたいと思います。
通常のホウ酸による防蟻処理は、ホウ酸水溶液を木に塗布しますが、ダスティング処理は、ホウ酸の微粉末を強力なエアーで人の入れない隅々まで行き渡らせるものです。アメリカカンザイシロアリは空を飛び屋根裏をはじめ、あらゆる部位から侵入します。
屋根裏・床下に散紛したホウ酸の上をシロアリが歩くと、足などに付着したホウ酸を巣に持ち帰ることになります。シロアリは、足裏に付着したホウ酸を『グルーミング』して舐める特性があります。ホウ酸を摂取したシロアリが、コロニーで死ぬと、シロアリは共食いをするため、そのシロアリを別のシロアリが食べます。もしくは、シロアリが死にシロアリの個体はいずれなくなりますが、ホウ酸は無機物のためコロニー内に残り続けます。さらにコロニー内に残ったホウ酸がシロアリの体に付着すると、グルーミング行為で他のシロアリに伝播するため、小屋裏・床下へのホウ酸ダスティング処理は、それ以外の構造材への防蟻効果も期待することができるのです。
さらに、ホウ酸ダスティング処理はアメリカではゴキブリ対策として採用されています(ちなみに日本では、ホウ酸は医薬部外品ではないため、このことを謳うことはできないらしいです)。
以上、説明したリノベ方法は、いずれも仮住まいなしで、住みながらでも施工可能です。せっかくお得に窓の断熱リノベを行うのであれば、ついでにより冬暖かく、夏涼しく、家の耐久性を向上させるリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか?
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