幅広い業務・ITツール等が補助対象となっている
「通常枠」の補助対象となる費用は以下の3種類のITツール等です。
【対象となる費用】
・ソフトウェア購入費
・クラウドサービス利用料(最大2年分)
・ソフトウェアまたはクラウドサービスの導入関連費
「A類型」は「プロセス要件」のうち1プロセス以上、「B類型」は4プロセス以上をみたし、労働生産性の向上に役立つものであれば、広く対象に含まれます。
「プロセス要件」は7つあります。
すなわち、全業種に共通の業務を類型化した5つの「業種共通業務プロセス」に加え、業種ごとに固有の業務を類型化した「業種固有プロセス」と、業種・業務に限定されず、業務プロセスと一緒に導入することでさらに労働生産性を向上させる汎用・自動化・分析ツールを対象とする「汎用プロセス」があります。
「業種共通業務プロセス」は以下の5種類であり、業種を問わず必要とされる業務が広くカバーされています。
【業種共通業務プロセス】
1. 顧客対応・販売支援
2. 決済・債権債務・資金回収
3. 供給・在庫・物流
4. 会計・財務・経営
5. 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム
「業種固有プロセス」は、業種ごとに、その事業に関連する業務を細かく網羅しています。たとえば、「製造業」であれば、「業種固有プロセス」は以下の通りです。
【製造業の業種固有プロセス】
・品質管理(部品・完成品、生産プロセス、トレーサビリティ、外注先評価)
・製造⼯程管理(製造指⽰、指⽰書、納期管理、ロット管理)
・製造管理(作業進捗、作業⽇報、安全管理、MES)
・製造設備管理(稼働状況、設備保全)
・⽣産管理(⽣産計画⽴案、⼯程計画、資材所要量計算)
・CAD、CAM、CAE
・部品表(BOM)・配合表(食品加工)、コスト計算、原価計算
・プリプレスツール:組版、デザインツール、工程管理・品質管理
このように、業種ごとに広く細かく業務がカバーされています。
「A類型」と「B類型」の違い
IT導入補助金(通常枠)には「A類型」と「B類型」があります。「B類型」の方が補助額が大きく、その分、より多くの要件をみたすことが要求されています(【図表4】参照)。
すなわち、「B類型」は「プロセス数」の数が多く、かつ、「賃上げ目標の達成」が必須となっています。
「B類型」に要求される「賃上げ目標」は、原則として以下の両方をみたす必要があります。また、従業員に表明していなければなりません。
【B類型の賃上げ目標の要件】
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を「地域別最低賃金+30円以上の水準にする
もしも、事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が達成できなかったら、やむを得ない事情がある場合を除き、補助金の全部の返還を求められることがあります。