(※画像はイメージです/PIXTA)

「中国版アマゾン」ともいわれてきたアリババ。しかし、もはやアリババのビジネス戦略の独自性は、その俗称の域を超えていると、NTTデータ経営研究所グローバルビジネス推進センターのシニアスペシャリスト岡野寿彦氏はいいます。本記事では、アリババとアマゾンを比較分析し、アリババを成功に導いたビジネス戦略を紐解いていきます。

アマゾンとアリババ、ビジネスモデルの共通点

米国と中国のECプラットフォームを代表するアマゾンとアリババのビジネスモデルは、プラットフォームの両サイド、すなわち消費者(Cサイド)とパートナー企業(Bサイド)を同時にエンパワーメント(empowerment)して、ネットワーク効果を働かせることで共通している。エンパワーメントとは、困りごとの解決や変革に向けた「力を与える」ことを意味する。

 

アマゾン、アリババともに、以下の5層(レイヤー)を市場ニーズと競争戦略に基づきタイムリーに構築して、各レイヤー内で成長のサイクルを回す。そして、レイヤーが補完し合うことで、顧客とパートナー企業をプラットフォームにとどめてその価値を高める成長のメカニズムをつくっている[図表]。

 

(出所)ヒアリングに基づき筆者作成。
[図表]アマゾンとアリババのビジネスモデル:5層(レイヤー)から成る成長のメカニズム (出所)ヒアリングに基づき筆者作成。

 

第1層:コア業務で基盤をつくり、集客

はじめに、コア事業であるEC(電子商取引)で、満足度の高い顧客体験を提供することで取引規模と顧客規模を確保する。

 

第2層:キラーサービスで顧客をロックイン

次に、アマゾンはアマゾンプライム(会員制度)によって会員企業に特別な利便性を提供、アリババは支付宝(アリペイ)によって信用の“困りごと”を低減することで、顧客をロックインする。

 

第3層:物流機能でネットとリアルを貫通、経済取引を拡大

物流機能でパートナー企業の事業活動をエンパワーメントする。物流機能は、ネットとリアルとを貫通させて経済取引を拡大するための重要なチャネルの役割を果たす。特にアマゾンは、物流機能に投資をし、高い物流品質がプラットフォームの競争優位を持続するための武器となっている。

 

第4層:クラウドから技術とソリューションを提供

パートナー企業のIT基盤としてクラウドサービスを提供する。さらに業界ごとのソリューションや新技術を活用できるようクラウドから提供している。

 

第5層:「ハードウェアとソフトウェアの融合」にチャレンジ

さまざまなモノがつながり合って価値を創るIoTをインターネットの進化の最終段階と位置付けて、アマゾン、アリババともに今後の成長領域として投資をしている。

 

5層(レイヤー)で成長のメカニズムをつくってきた点で、アリババとアマゾンのビジネスモデルは類似している。それでは、アリババとアマゾンは何が違うのか、次項で分析したい。

 

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次ページアリババとアマゾンの相違点

※1 盒馬鮮生(Hema Fresh)のビジネスモデルについて岡野(2020)第9章第1節「アリババ『ニューリテール戦略』:データ駆動による業界の再構築」(287ページ)参照。
※2 1997年にナスダック市場に上場

中国的経営イン・デジタル 中国企業の強さと弱さ

中国的経営イン・デジタル 中国企業の強さと弱さ

岡野 寿彦

日経BP 日本経済新聞出版

中国的経営の原理とは? 日本的経営とどう違うのか? 先進IT企業のケーススタディを通して、中国企業の「型」を解き明かし、日本企業にとっての教訓をさぐる。 なぜ中国企業は「両利きの経営」を目指すのか?  ●政府…

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