アマゾンとアリババ、ビジネスモデルの共通点
米国と中国のECプラットフォームを代表するアマゾンとアリババのビジネスモデルは、プラットフォームの両サイド、すなわち消費者(Cサイド)とパートナー企業(Bサイド)を同時にエンパワーメント(empowerment)して、ネットワーク効果を働かせることで共通している。エンパワーメントとは、困りごとの解決や変革に向けた「力を与える」ことを意味する。
アマゾン、アリババともに、以下の5層(レイヤー)を市場ニーズと競争戦略に基づきタイムリーに構築して、各レイヤー内で成長のサイクルを回す。そして、レイヤーが補完し合うことで、顧客とパートナー企業をプラットフォームにとどめてその価値を高める成長のメカニズムをつくっている[図表]。
第1層:コア業務で基盤をつくり、集客
はじめに、コア事業であるEC(電子商取引)で、満足度の高い顧客体験を提供することで取引規模と顧客規模を確保する。
第2層:キラーサービスで顧客をロックイン
次に、アマゾンはアマゾンプライム(会員制度)によって会員企業に特別な利便性を提供、アリババは支付宝(アリペイ)によって信用の“困りごと”を低減することで、顧客をロックインする。
第3層:物流機能でネットとリアルを貫通、経済取引を拡大
物流機能でパートナー企業の事業活動をエンパワーメントする。物流機能は、ネットとリアルとを貫通させて経済取引を拡大するための重要なチャネルの役割を果たす。特にアマゾンは、物流機能に投資をし、高い物流品質がプラットフォームの競争優位を持続するための武器となっている。
第4層:クラウドから技術とソリューションを提供
パートナー企業のIT基盤としてクラウドサービスを提供する。さらに業界ごとのソリューションや新技術を活用できるようクラウドから提供している。
第5層:「ハードウェアとソフトウェアの融合」にチャレンジ
さまざまなモノがつながり合って価値を創るIoTをインターネットの進化の最終段階と位置付けて、アマゾン、アリババともに今後の成長領域として投資をしている。
5層(レイヤー)で成長のメカニズムをつくってきた点で、アリババとアマゾンのビジネスモデルは類似している。それでは、アリババとアマゾンは何が違うのか、次項で分析したい。
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