「植田日銀」は金融緩和政策をやめるのか
黒田総裁の下で、日銀は2022年4月に10年債利回りの上昇を0.25%で阻止することを決定、そして同年12月にこの上限を0.5%に拡大することを決定しました。前者は米10年債利回りの上昇が加速に向かったタイミングであり、後者はそんな米10年債利回りが低下に転じたタイミングでした(図表6参照)。
日米の10年債利回りは基本的に連動するので、YCC(イールドカーブ・コントロール)と呼ばれる政策のなかで行われている日銀の10年債利回りの上昇阻止策見直しも、米金利の動向がひとつの判断材料になっている可能性はあるでしょう。
経済学者の植田新総裁からすると、10年債利回りといった長期金利は中央銀行でも基本的にはコントロールできないとの考えがあると見られることから、そんな10年債利回りを政策目標としているYCCは止めたいというのが本音ではないでしょうか。
それを植田新総裁の「デビュー戦」となる4月の会合で早速行うことになるかは、米金利のピークアウト、低下傾向が続いているかが鍵になりそうです。かりに、4月会合でYCC撤廃となれば、瞬間的には円金利上昇に伴う円高リスクを試す展開となりそうです。
以上、4月の米ドル/円に影響しそうな材料を点検してきました。基本的には、早期の大幅利下げを織り込むほどに大きく低下した米金利の動きが行き過ぎで、その反動から「米金利上昇=米ドル高」へ戻りを試す展開が中心となると考えていますが、一方で日銀の金融緩和見直しに伴う円高リスクとの綱引きもありそうです。
それらを踏まえると、一方的に円安、円高に動くというより、130~137円中心で上下動を繰り返す展開を想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】