(※画像はイメージです/PIXTA)

3月の米ドル/円は、米シリコン・バレー銀行(SVB)の経営破綻や欧州クレディ・スイス銀行の経営難などを背景に金融システム不安が高まり、それまでの米ドル高・円安から急反転しました。では、これらを織り込んだ4月の米ドル/円相場はどのような動きとなるのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

「4月のFX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉

・3月は金融システム不安の急浮上で米ドル高から米ドル安へ急反転。ただ、金融システム不安を受けた早期の大幅な米利下げ織り込みは「行き過ぎ」の可能性も。

・4月は米金利の動向と、植田新総裁が初の出席となる日銀会合での緩和見直しなどに注目。一方的に円安、円高に動くというより、130~137円中心で上下動を繰り返す展開を想定。

3月の振り返り=金融システム不安で米ドル安へ急反転

3月の米ドル/円は、金融システム不安が急浮上したことにより、米ドル高・円安から米ドル安・円高へ急反転となりました(図表1参照)。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2023年1月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

まず3月がスタートしたところでは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言をきっかけに、米利上げ見通しが上方修正されるところとなったことから、米金利上昇に連れる形で米ドル/円も138円寸前まで上昇しました。

 

ただ、SVB(シリコンバレー銀行)という米銀の経営破綻をきっかけに金融システム不安が浮上すると、「米金利低下=米ドル安」へと流れは一変するところとなりました(図表2参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]米ドル/円と日米10年債利回り差(2022年10月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

金融システム不安の浮上により、リスク回避で金利が低下する。そういった流れを主導したのは短中期の金利でした。

 

たとえば、米2年債利回りは上述のようにパウエル議長の議会証言後は米利上げ見通しの上方修正にともない5%まで上昇しましたが、金融システム不安が急拡大に向かうなかで一時は3.7%程度まで、つまり最大で1%以上の大幅な低下になりました。

 

一方、米10年債利回りは4→3.3%といった具合に、低下幅は最大でも0.7%程度だったので、比較すると米2年債利回りの低下の激しさが分かるでしょう(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米2年債および10年債の利回りの推移(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

基本的に、米国の短中期金利は米国の金融政策を参考に変動します。その意味では、米2年債利回りが一時4%を大きく下回るまで低下し、3月22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で4.75~5%まで引き上げられた政策金利のFFレートを1%以上と大幅に下回る動きとなったのは、早期の大幅な利下げを織り込む動きと言えるものでした(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米2年債とFFレート(2018年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

FOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は年内の利下げを否定したにもかかわらず、金利市場は金融システム不安の影響からリセッション(景気後退)へ転換する可能性が高まり、早ければ6~7月の利下げも織り込むといった具合で、米金利の見通しを巡りFRBと市場は真っ向から対立する状況となったわけです。

 

次ページこのような相場環境で「株価」の動きは?

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