「友人が落とされたら、気まずくならない?」
▶戦わない採用●リファラル採用に〝心配の声〟
リファラル採用を導入する際によく聞かれる「心配の声」としては、大きく3つ挙げられます。ここではそのお声と対処法をご紹介します。
■心配の声1「コネ入社と間違えられない?」
リファラル採用前の段階にある企業においては、「コネ入社と間違えられるのではないか?」という懸念が社内で挙がることもあるかもしれません。おそらく、「コネ入社」のイメージから「従業員にマイナスの印象を与えないだろうか……」と不安になるのでしょう。
これは、制度設計の社内への下ろし方で解決していくことができます。リファラル採用は、社員の友人・知人に下駄を履かせて入社させる仕組みではありません。あくまで他の採用手法と同様に公平に選考を行います。従業員にはこうした制度のあり方を正しく伝えるべきです。
従業員が「選考だ」ということを理解していれば、マイナスイメージも払拭されますし、「僕の紹介だから受かるよ」といった安易な発言を友人・知人にすることはなくなるはずです。
制度の内容をきちんと伝えていれば、「こういう仕事があるから気になったら応募してみたら? ただ、選考はあるからね」と正確に情報を伝達することができます。
■心配の声2「友人が落とされた場合、気まずくならない?」
不合格とした場合には、会社側はどういう理由でNGとしたのか理由をきちんとフィードバックし、丁寧なアフターフォローをすべきです。例えば、「ご紹介頂いた□□さんは、非常に優秀な方でした。一方で、ご本人の志向性として、△△の環境を望んでいることがあり、当社のカルチャーとミスマッチがあると考えられたので、非常に残念ですが、本人のためにも今回はお見送りとさせていただきます」と丁寧にフィードバックをするのです。
ユニークな取り組みとしては、「ごめんね飯」といって、紹介した友人とアフターフォローの会食費を支給する制度を設けている企業もあります。
従業員の今後の人間関係を考慮した制度設計や運営がなされていることを、全社員に伝えていくことで、安心してリファラルを行っていける環境を整えていきます。
■心配の声3「引き抜きだと思われない?」
社外の人とともに業務を行っていくなかで関係性が深まり、自社の募集について話をするということも十分にあり得るでしょう。これに対して、「取引先の引き抜きに見えるのではないか」と、懸念する声もあります。取引先との今後の関係性の悪化を心配しているのです。
このような場合においては、きちんとルールを設けて対処していく必要があります。例えば、「主要なクライアント先の現場で引き抜き行為をしない」「取引先以外に声を掛けるようにする」などを定めておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
鈴木 貴史
株式会社TalentX(旧株式会社MyRefer) 代表取締役CEO