ファーウェイのビジネスモデルの特徴
すべての人、家庭、組織にデジタル技術を提供し、すべてがつながるインテリジェントな世界を実現する。この目的のために、
・ユビキタス接続を推進し、ネットワークへの平等なアクセスを促進することで、インテリジェントな世界の基盤を構築する。
・ユビキタス・クラウドとインテリジェンスを実現する究極のコンピューティング・パワーを提供する。
・強力なデジタルプラットフォームを構築し、あらゆる産業や組織がより機敏に、より効率的に、よりダイナミックになることを支援する。
・AIの活用によりユーザー体験を再定義し、家庭、旅行、オフィス、エンターテインメント、フィットネスやヘルスケアなど、あらゆるシーンで、よりパーソナライズされたインテリジェントな体験を消費者に提供する。
ファーウェイのビジネスモデルの特徴は、技術開発力を基盤として、異なる組織能力が求められる事業を一つの人材組織マネジメント体系のもとで経営し、各事業が相乗効果を発揮することにある。1987年の創業から、次の4層(レイヤー)を順次追加して各レイヤーで成長のサイクルを回し、さらにレイヤーが補完し合うことで好循環をつくっている。
・第1層:通信会社向け事業(2G)
創業事業であり、世界の5G技術開発を先導するポジションに成長している。研究開発を重視し、ここで蓄積した技術開発力が事業構成多角化の基礎となっている。
・第2層:人のデジタル化と相互接続(2C)
スマートフォンを中核とする消費者向け事業であり、スマートフォンを入り口にさまざまなコンテンツやサービスを提供するプラットフォームビジネス化を進めている。
・第3層:中小等企業向けクラウド事業(2B)
クラウドからAI、ビッグデータなどテクノロジーを提供して、企業のDXを支援する。「万物感知、万物互聯、万物智能」(すべてのものを感知し、すべてのものをお互いにつなげ、すべてのものをスマート化する)を理念とする。
・第4層:半導体チップ、OSを中心とする基礎技術開発
スマートシティ、スマート製造、車のコネクテッド、スマートホームなどIoTソリューションやプラットフォーム運営に必要なテクノロジーの開発を行っている。特に、ソフトウェア開発を強化し、ハードウェアとソフトウェアを「融合」させるビジネスモデルの開発を進めている。
通信会社向け事業(2G)の垂直統合モデルで発展してきたファーウェイは、5GやAIなどデジタル技術の発展を機会として、「デバイス─ネットワーク─クラウド」が連携するICTインフラ基盤の提供を通じて、消費者や企業など経済社会の主体を「つなぐ」企業へとフィールドを拡大している。
背景には、画像データ、産業データ、個人データ、消費データなど多様なデータがスマートフォン、IoTなどさまざまなデバイスから収集できるようになる中で、これら断片的なデータを統合するために強力なデジタルプラットフォームが必要だとの認識がある(2020 Annual Reportに基づく)。
「プラットフォーム・モデル」により収益源を多様化…米中対立に対応
米中対立においてファーウェイは米国による制裁の矢面に立っており、通信機器やスマホ生産に不可欠な半導体などの調達が制限されている。この対策としてファーウェイは最先端の半導体を必要としないビジネスへのシフトを進め、法人企業向けソリューション事業を急ピッチで立ち上げている。
そして、研究開発をさらに強化して外国技術への依存脱却を急ぎ、プラットフォーム・モデルの導入、ハードウェアとソフトウェアの融合により収益源を多様化することによってレジリエンスの強化を進めている。
①独自OS「鴻蒙(ホンモン、英語名:ハーモニー)」によりIT端末や自動車の心臓部を押さえ、さまざまな機器がつながる「IoT」の基盤として成長させる。
②3億台のスマホユーザーに向けて、ソフトウェアやコンテンツを提供するエコシステムを運営する。
③自動車部品やソフトウェアを「HI(ファーウェイ・インサイト)」のブランド名で自動車メーカーに提供し、プラットフォーマーとして自動車ビジネスを立ち上げる。通信機器やスマートフォンで培ってきた低コスト化のノウハウを活用する。
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