本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。
過去のパターンも「利下げが近い」ことを示唆
ちなみに、[図表3]に示すとおり、今回はたった1週間で2年と10年の米国債利回り差が0.65%拡大しました。債券市場に資金が流入して、10年金利も下がったのですが、それをはるかに上回る幅で2年金利が低下したのです。利上げ見通しが大幅に後退したためです。
[図表4、5]で示すとおり、データの取れる1962年以降、2年と10年の米国債利回り差が1週間で0.65%拡大したケースは、今回を除くと「10営業日」しかありません。それらはいずれも1980-1981年に集中しており、それらを細かく見ると[図表5]、いずれもその後に「利下げが起きています」。
以上は、パターン分析に過ぎませんが、先述のとおり、「今回の問題は銀行の問題」であり、「銀行セクターへの支援策がイールドカーブのスティープ化である」という理屈を思い出せば、「利下げは遠くない」と考えます。
そして、[図表1、2]で見たとおり、過去は、十分な利下げの後は、株価が上昇に転じています。
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フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済業務および外国債券・デリバティブ等の投資・運用業務に従事。
その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。
アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年にJ.P.モルガン・アセット・マネジメントに入社、2019年同社マネージング・ディレクターに就任。ストラテジストとして、個人投資家や販売会社、機関投資家向けに経済や金融市場の情報提供を担う。2020年8月、フィデリティ投信入社。
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