FRB議長がなんと言おうと…「利下げは近い」
痛みは「買い場」にほかならない。積極的に「行動」しよう
今週の米公開市場委員会(FOMC)がどうなるかはわかりませんが、FOMC後にパウエル議長がどうおっしゃろうとも、筆者は「利下げは近い」と考えています。
利下げが近いと考える理由は、今回の問題は、銀行(とCMBSの)問題であるためです。
他のセクターとは違い、銀行セクターの業績が悪化する場合、FRBは常に、利下げによってイールドカーブをスティープ化させます(→短期金利を引き下げて、短期金利を長期金利よりも低くします)。
その結果、銀行は「短期調達、長期運用」で簡単に収益を生み出せるようになります。この収益によって銀行は資本増強を進めることができます。「利下げは銀行への補助金」であり、銀行セクターを「救済」するための常とう手段です。
金融緩和でインフレは大丈夫か
「利下げして、インフレは大丈夫なの?」と思われるかもしれません。答えは「大丈夫です」。理由は2つあります。
①今後は景気が停滞する
まず、今後は景気後退が避けられないでしょう。景気後退はディスインフレの圧力をもたらします。これまでの需要超過によるインフレの圧力は急速に失われていくはずです。
そもそも金融緩和を行うのは、実体経済に生じるディスインフレの圧力を減らすためです。今後、失業が増え、企業業績は悪化するでしょう。投資家は「痛み」を感じるかもしれませんが、「痛みとは買い場」にほかなりません。積極的に行動しましょう。
②インフレは実体経済と株価にプラス
次に、インフレが復活するとしても、インフレは、今回のケースで言えば、特に企業の過剰債務問題を解決してくれます。
また、雇用の悪化による名目賃金の停滞を含め、実質賃金が低下します。債務の問題が解決され、賃金が安くなると、企業活動は息を吹き返し、株価を大きく回復させる力として働きます。
市場の「負け組」はいつもキャッシュ
上記の流れを整理すると、金融緩和は金利低下ですから、まずは国債に恩恵を与えます。次に、社債や株式に恩恵を与えます。
言い換えれば、このゲームにおいては「最終的な負け組はいつもキャッシュ」です。「キャッシュが良い」のはごく短期間です。逆に、「キャッシュが良い」時間が長く続くということは、通常の経済運営では「あってはならないこと」です。
なぜなら、それはデフレであり、債務者すなわち企業、そして、実体経済全体が苦しむためです。それゆえ、(日本では違いましたが)世界の常識では「キャッシュが良い」時間は長く続かないのです。
[図表1、2]で示すとおり、過去は、十分な利下げの後は、株価が上昇に転じています。